1月2日
オデュッセウスは女神カリュプソーによって孤島にとどめ置かれている。帰還のならないオデュッセウスは
ἱέμενος
καὶ
καπνὸν
ἀποθρῴσκοντα
νοῆσαι
(1-58)
(彼の故郷の)煙が立ち上るのを見ることを願いながら
悶々としている。「煙が立ち上るのを見る」のは船からであろう。これなどは海洋小説でもある『オデュッセイアー』ならではだ。
新年会。親戚の新年会は2日にすることにしている。子供時代の昔話はいつも主要話題の一つだ。その中でたまたま「煙」にまつわる話をした人がいた。その人が小学校にあがる前の頃の話。漬け物をつけていて手を離せない母親が、火にかけている鍋のことが気になってそばにいた子供(その人と小学生になりたての姉)に鍋を見てこいといった。見てきて姉の方は「湯気が出ている」といい、弟は「けむりが出ている」といった。母親は慌てて飛んでいって焦げた鍋の火を消し、弟の方は小さいのによくいったと褒められた。実は本人は「湯気」ということばを知らなかっただけで湯気のつもりで「けむり」といったのだそうだ。その時は面映ゆい気持ちで黙っていたが、何十年かたっての告白だったというわけだ。
帰路は風が強く寒かった。