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2024,1,3初の長編小説「星の光源~アン・マンズフィールド・サリヴァン異聞」土井章寛著 発売されました。

 

信長は牡牛座の生まれだ。そのことだけでも、優れた経済人であったことがわかる。

秀吉も根っからの商売人だったので、彼らがコンビであったことは理解できる。

というよりも、この二人が考え出すアイデアは、当時の刀にだけ力を求める武将たちには

理解できなかったであろう。

 

安土には信長の博物館があるが、強大な権力者が世に威光をまき散らした「爪痕」は

後のぼんくらどもによって、ことごとく灰に帰している。

だから、ここに見るべきものは、ない。

 

残念な思いを抱きながら、客のいないレストランに入る。誰もいない、暗がりがあるだけだ。

450円払って「インドモンスーン・コーヒー」を頼む。

受付のお姉さんが「22」の番号札を渡し、「できましたらお呼びします」と言う。

私は、思わず振り返った。誰もいない、誰もいない。

そうして「22番の方」と呼ばれ、コーヒーを受け取る。

 

インドモンスーン・・とは何だろう?

私の知らない豆だ。いつかジャカルタ空港で飲んだコーヒーは、ドブ水のようだった。

モンスーンは台風のイメージがあるが・・さて・・

 

まずい。これは・・まずい。スタバよりマクドナルドより、セブンイレブンよりまずい。

これは信長にふさわしくない。

450年前、彼はすでに地球が丸いことも、自転していることも知っていた。

おそらくスペインやポルトガルから、紅茶やコーヒー、カステラも運ばれ

青い目をしたコックやパティシエが、目の前で豆を挽き、異国の香りを献上したであろう。

 

だから信長の舌は肥えていた。博物館のコンセプトはまずここからであるべきだ。

コーヒーなら世界中の豆を集めてこなければならない。

そうして豪華と絢爛と秘密をカップに凝縮しなければならない。

 

信長は本能寺で死んではいない。脱出しているのだ。