3新・小説 誰でも最初はど素人どっせ! 松本万次郎 | 京都 coffee bar Pine Book

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日々楽しく生きるにはコツがあります。
まずいちいち反応しない事です。
そしてオセロの4つ角を取る事です。
4つ角とは?
1 健康
2 人間関係
3 趣味
4 仕事
コレが楽しく生きるコツです

次に万次郎は狭い厨房に置いてある冷蔵庫の中からさっきお兄さんが使ったレモネードの原液の入っている瓶を出した。


かき氷シロップをすくうレードルで、万次郎は


器用にレモネード原液をコップに注いだ。

テキパキとレシピも見ずに万次郎は初めてのレモネードを作り上げたのである。

「万次郎くん!速いわ速い!お兄さんびっくりしたわ。要領がいいわ。後は味やな?」

お兄さんは、万次郎が作ったレモネードをストロー無しで一口飲んだ。

「・・・うん!いけるわ!万次郎くん美味しいわ!レモネード!」

万次郎は生まれて初めて他人から「美味しいわ」
という感情表現を聞き、何とも言えない興奮を覚えた。

「美味しい。美味しいわ!」
なんという心地よい響きでしょう?「美味しいわ!」

お兄さんは、ストローをレモネードに差し込むと残りのレモネードを一気に飲み干した。

万次郎は言った。
「もう1杯如何です?」

「上手いな、万次郎くん。商売上手いな!」

万次郎は小さな興奮を全身で感じたのだ。

美味しい飲み物を作って提供し、お金を頂いて笑顔で喜んでもらえる。

これは今まで14年間生きてきて一度も経験したことがないことであった。
万次郎は思った。

そうか!アルバイトって自分が働いてお金を貰うだけではない。お客さんに喜んで貰うというサービスをしないと自分自身もお客さまも幸福感を得られないな?と瞬間に感じた。

お兄さんは次々と万次郎に作らせた。

「次は、万次郎くん!バナナパフェ作って見るから見ててや!」

そう切るんか?バナナを。先に生クリームを入れるんか。途中でアイスクリームを入れるのか。

あっという間にバナナパフェは完成した。



万次郎くん!食べてみ?

美味しい~美味しい。

「お兄さん。美味しいわ、バナナパフェ!」


本当に美味しいバナナパフェ!
万次郎は感動した!

「ボクも作りたいっ!」

「万次郎くん!バナナパフェ作ってお兄さんに食べさせてくれるか?」

「わかった!見ててや!」

万次郎は器用に包丁をバナナに差し込んだ。
中々器用に包丁を使いこなす万次郎にお兄さんは目を細めた。