こうして、父親母親と晩年は仲良く日々を過ごしていくようになった。
次生は右京区龍安寺の店舗に通いづらくなってきたのが気になって仕方なかった。
朝昼夜三食を子供用老人用普通食と分けて献立て調理をしなくてはならないのだ。
病院の付き添いもある。
幼稚園の行き帰りのお迎えもある。
なかなか毎日忙しいのである。
龍安寺の店舗は家賃が75000円駐車場月極1万円計85000円が経費として掛かっていた。
自宅北側の30坪ほどの土地に康三が裁判官を退官する時に小さな二階建ての家を建てた。
この積水ハウスの小さな家を次生の小学校6年夏休みの期間、大工さん達の仕事を見晴るようにと康三から頼まれた家である。
次生が中学受験を決める大切な最後の夏休みである。しかし、康三は言葉巧みに、二階には次生の部屋が出来ると言って次生を見晴らせた。
結局は康三の嘘であった。またまたまたまた、次生は康三に騙されるのである。
20年後、次生がその二階建てを解体し、新たに少し建物を大きくして、1階2店舗2階住居を建築するとはまさかのまさかであった。
日に日に健康を取り戻してきた母潔子。
ある日、二人が仲良く次生のリビングで寛いでいた時、なぁ、話しあんねんか。
お父ちゃんとお母ちゃんなご飯僕とママが作ってるやんか?
僕達中々右京区まで通えへんやんか?
でな、裏の家解体してな1階2店舗2階住居を建てようと思うねん。裏の家解体してかまへんか?
顔を見合わす二人。
建築費用はどないするのんか?康三が言う。
あ〜ボクがなんとかします。
ほな、かまへんで。二人でニコリ。
あっさりと解体を認めた二人。
そらそうであろう!
自分たちの日々の食事があてがわれて、息子夫婦が料理人兼、運転手兼、家政婦が24時間365日付き添うのだ、何が不服あろうか?
こうして次生は、金融機関から借り入れをして店舗兼住宅を建設していくのであった。