伊藤正人は松本次生の親友のひとりである。
親友は守らねばならないと、次生は思った。
正人と次生は小腹が空いてきたので、りんやから二人は狭い階段を降り、近くのBIGに入ってエビピラフを食べに。
なぁーまぁーとて!帰りちょっと寄ってくれへん?
どこ?
BALっ。
いいで!
四条河原町から三条河原町まで、喫茶店はたくさんあった。
次生と正人達仲良しこよし4人組の知らない喫茶店はなかった。ほぼ毎日、学校は行かなくても喫茶店には出席していた。
今はスマホから情報が湯水の如く溢れ出るが、50年前の新鮮な情報入手方法は喫茶店で他校の生徒から得るのである。
あっ?まーみんやないかいっ!
ウオ、久しぶりやん!松ちゃん!
あんな?知ってる?俺とこおかん、店やってるやん!でな、夏にな新宿公園前にな新しくディスコ出来るらしいねん。でな、ビルな丸ごとディスコの店が入るんやて!
なぬっ?丸ごと?ディスコ?行きたい、ボク!
と、夏に次生は新宿いきましょ!と思った。
なあ?まぁーみ?なんで知ってるん?丸ごとディスコ?
ほら、お母ちゃんな、彼氏東京やんか?
そーなん?彼氏いるんかおかん?
名古屋にもいるで。彼氏。
大谷高校のまぁーみはすっごく男前で、明らかにハーフである。
次生はまぁーみのお父ちゃんは外人やな!と思っていた。
伊藤正人もむっちゃイケメンで、1つ違いの兄の智之も演技力0のノータリンでも、無言でBARカウンターに座る役なら直ぐにでも映画、テレビに出演できた。というのも、祖父は大乗寺八郎と言う俳優である。
伊藤正人の母親はこれまた、美形で初めて家庭訪問(昔、昭和の時代、担任の教師が新しく学級を担任した時には数ヶ月掛けて生徒の自宅を訪ねて家庭環境を調査していた。次生はこの制度を真似てみずから気に入った新しい友達作りに利用した)をした中学一年生の時、次生は思った。
なんと綺麗なお母ちゃんやないかい!と。
まるで女優である。
あ〜松本くん?正人と友達になってくれてありがとう〜な!
なんか食べる?お腹空いてない?
ボク、オムライス食べたい!
正人の母親は近くの喫茶店からオムライスをデリバリーしてくれたのだ!
次生は、感動した!
はい、今日から伊藤正人は友達から親友になりましたっ!
岸恵子似の母親と俳優の血を引けば伊藤正人もイケメンになる以外道はない。