毎月買っている、ライディングスポーツ誌。
最新号を読むと、色々興味深い記事がありました。
菅生サーキットで行われたロードレース全日本選手権では、
観客数が3,300人だったそうで、ちょっとショック。

先日の世界選手権でも4万人を切ったぐらいですから、当然と言えば当然ですが、
私がよく通っていた頃は、全日本選手権でも数万人の観客はいたはず。
ちょっと寂しいなぁ~。

と、寂しい話題もありましたが、
興味をひかれたのは、マン島で行われた電動バイクのレースの模様。
世界的に有名な公道レースのマン島TTですが、
その中の一つのレースに電動バイクのレースがあります。
今年は、日本から2チーム参戦し、その中の1チームは、ホンダの無限。
もう一つのチームのライダーは日本人の松下さん。その松下さんのレポートが面白かったです。
車重は250~300kgと、バッテリーのために重たく、
1周60kmのコースを1周だけですが、それでもバッテリーが不足してしまうのだとか。
やはり、まだまだ課題が多い電動バイクですが、
それでもレースに限ってしまえば、レシプロエンジンのバイクに対して、若干遅い程度の速さを見せるそうです。
レシプロエンジンバイクとの大きな違いは、
まず、クラッチが無いこと。
つまりオートマです。
なので、右足のブレーキペダルが無く、クラッチレバーの代わりに、左ハンドルにリヤブレーキレバーがある。
まぁ、これは今あるオートマバイクでも同じなので、さほど違和感は無いでしょうが、
(個人的には、違和感大ありですが)
レーススタート時、普通ならスタートまでエンジンをブンブン空ぶかししてクラッチミートするのが当たり前ですが、
電動バイクはスタート時にアクセルをひねるだけ。うーん、なんか味気ない。。。

そして、電動バイクのモーターですが、
レシプロエンジンに慣れているライダーのため、レシプロエンジン風の味付けを行っているそうです。
つまり、レシプロエンジンは、爆発を繰り返しているので、細かいパルスが発生します。
しかし、本来のモーターは、至って平坦。変化なし。
これを、コンピューターでわざわざレシプロエンジンっぽくパルス風の変化を付けるんだそうです。
なので、ライダーは、全く違和感なく乗れるそうです。
このパルス、トルクの変化がタイヤのグリップ力を生む、という話もありますので、
これは結構重要なのでしょうね。
しかし、モーターはコンピューターでどんな味付けもできるわけで、
今日は、並列4気筒風で、今日はVツイン風で、今日は水平対向風で・・・
なんて自由自在にできるってこと!?
クランクの慣性力など他の要素もあるので、全く同じにはできないでしょうが、
爆発間隔など色々変化を付けることができそうです。
それから面白いのが、
電動バイクレースに出場するバイクに義務付けられているのが、ホーン。
普通のレースだと、物凄い爆音を出してますので、後ろからライバルが接近してくると、音で分かる。
しかし、電動バイクは静かなので気が付かない。
だから、後ろから前のライダーを抜く時は、ホーンを鳴らしてから抜く、というルールだそうです。

そう、電動バイクといえば、その静寂性が特徴ですよね。
サーキットで爆音が響かないといのは、ものすごく違和感がありますね。
でも、静かな方が、一般の人にも拒絶反応が少なくなって、良い面もたくさんあると思います。
そう言えば、今まで見てきたレースで、この静かなレースというのを思い出しました。
昔、まだロードレースで2ストロークが主流だった頃。
例えば、鈴鹿サーキットで日本GPを何度も観戦していたのですが、
スタート直後の1コーナー進入の瞬間、
サーキットに、ふっと数秒間の静寂が訪れます。
その数秒間は、観客のざわめきと場内放送だけが聞こえる、不思議な瞬間でした。
スタート直前から甲高い2ストロークの爆音がサーキット中に鳴り響き、
各車一斉にスタートするのですが、
1コーナーへのブレーキングを開始すると、スロットルを戻します。
すると、2ストロークエンジンはとても静かになるのです。
だから、全ライダーがブレーキングしている間、しーんとなるわけです。
この瞬間が、なにか鳥肌が立つようで、好きでしたね。
まぁ、そのすぐ後には、また2ストロークの甲高い音が鳴り響くわけですが・・・。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、
静かなレースも、場内放送がよく聞こえるし、隣と会話もできるし、
まぁ、いいんじゃないでしょうか。
はやく技術が進歩して、電動バイクレースが身近に観られるようになるといいな。
そして、自分自身も電動バイクに乗ってみたいです。