3月、卒業式が済み

親の元から巣立って行く子供達を、

大丈夫だろかと心配しながらも、たのもしくもあり

寂しくもあり…

18年なんてあっという間だ。


私には3人の息子がいるが、もうそれぞれ成人して

2人は結婚もしている。

その子達それぞれが体験した冒険が、面白い。


親は、ハラハラし、後から聞くとゾッする話やら。


今回は、長男の話。


彼は、一浪して後期ギリギリで合格し、

北海道の大学へ進学した、(実家は関西)

入学まで日にちも少なかったので、

必要なものは現地で調達し、下宿も中廊下のある

木造の質素な所しか空いてなかった。

とりあえず食事付きなので、どうにか餓えることはないだろうと…

頑張れよーと長男を置き去りにして帰った。

その時の心細そうな顔を見ると、こちらも胸がギュッとなり、泣きそうになった。

その頃、北海道はとても遠く感じられ、

とても寒くて、かわいそうでならなかった。


親元を離れ、知り合いもいない所で、

初めて一人で暮らす不安。

とにかく友達を作って、周りにいる大人を頼りなさい

とだけ伝えた。


そんな心配は、すぐに解消され、

それはそれは楽しい大学生活を送り

大学院まで進んで、就職も決まり、後半年で卒業と

言う時に、彼は大学院を中退し

あろうことか、北海道から日本縦断ヒッチハイクの旅に出たのだ。

その時は、父親と大揉めしたのだが…


実家の関西を行きと帰りに寄ったときに、

顔を見て安心したが、道中まだまだ遠く

また胸がギュッとなる。

夏の終わりに北海道をスタートした彼は

雪が降り始めたころに、北海道に戻った。


後から聞いた話は、まるで小説のような話ばかり。

息子のようだからと、食事をおごってくれたり、

家に泊めてくれたり、地元のラジオに出演させてもらったり、怖そうな外国人の集団に連れて行かれて、

でもとても優しくしてもらった事とか…

野宿して怖かったり、車が通らなくて

夜中に一山越えたり…

後から聞いて、無事で良かった〜と、また胸がギュッとなる


その後、彼は大手の会社を2年で辞めて、

学生時代にお世話になった人の片腕になるため

また北海道で暮らしている。

三児の父となり、子育てと、その土地を盛り上げるため、日々奮闘中だ。


彼の冒険での経験は、人間をたくましく大きくし

小さい世界の私なんかを軽々と追い越してしまった。

頼もしくて、ちょっぴり寂しくもあるけど、

もう胸がギュッとする事はないかな。