YouTubeチャンネルに新しい動画を2本アップしました。

ぜひぜひ聴いてください!!

 

トロイメライ

 

「夢」や「ファンタジー」を意味するトロイメライ、聴いたことのある方も多いと思います。

ドイツの作曲家ロベルト・シューマンの《子供の情景》という作品集の第7曲目に収められています。

 

シューマンは小品を描く名手。文筆家としても活躍したように、音楽作品のなかにもありとあらゆる伏線を交えてくる人です。

その二面性は執筆でも作曲でも自在に登場する「フロレスタン(活動的、ややアグレッシブなキャラクター)」と「オイゼビウス(内向的で夢想家のキャラクター)」によって魅力を増しています。

『トロイメライ』はオイゼビウス的性格の小品と言えます。

同じような導入も、四分音符、八分音符、装飾音符、「遥かなる調」への「夢見る転調」を経て四分音符で回帰する…

この作品の仕掛けを解くだけでも膨大な時間がかかるのです。

 

 

《子供の情景》はもちろん「子供」のためでもありますが、子供の心を持つ全ての人間に寄り添う作品です。

どれほど強がっても、どれほど背伸びしても、或いはそれさえも忘れるほどに頑張り続けていても、人は皆、子供だと思います。

その心に気付かせてくれる、緊張し固まった心を解してくれるのがシューマンの「オイゼビウス」的手腕の素晴らしいところだと感じています。

 

お子さまにも聴いて頂けるよう、ピアノにはスヌーピーとモーツァルトベアを座らせました😍

 

 

ウィーンの夜会-「こうもり」の主題-

 

何が起きても「すべてはシャンパンのせい」と声を合わせながら、歌って踊って楽しんでしまう世界があります。

ワルツ王と名高いヨハン・シュトラウス2世の代表作オペレッタ《こうもり》のワルツを主題としたこちらのパラフレーズを描いたのは、シュトラウス2世と親交のあった教育者(ウィーン国立音大教授)アルフレッド・グリュンフェルトという人です。

 

ドタバタの不倫劇とハッピーエンドの《こうもり》は喜劇として笑いあり、華やかさあり、親しみやすい歌心に溢れた作品になっています。

 

 

世のなかは非常に複雑です。

人間の複雑な心の多様に入り交じった共同体であるので、それは致し方のないことです。

理性で分かっていても、感情を上手く処理することができるのは、よほど心の均衡が取れている時だと思います。

だから私たちはしばしば自己を優先し、他者への敬意を慮ることをどこかへ忘れてきてしまう。

見えやすい攻撃や凶暴な行動に出さえしなければ隠されている闇はたくさんあります。

でも果たして、それだけが他者を傷つけるものかと言えば、そうでもない。

誰しもが扱うことの出来る言葉、視線、顔つき、口つき、このようなものこそ、その大きな根源となり得るのです。

そう思うと、自分の持つべきものは、ある種の「自分への恐怖」なのかもしれないと思ったりもします。

本当に、人は人のことをとやかく言える身分ではないのだから。

 

《こうもり》は誰のせいにもせず、「すべてはシャンパンのせい」と軽やかに笑い飛ばします。

悲しみも苦しみも、疲れるほどに歌って踊ってしまおうということです。

 

こんなふうに言った役者がいます。

「悲しみは喜びに、苦しみは幸せに、涙は笑顔に変えるのが、役者というものだ」

と。