INOくんのお話
今から、約2000年もの前の大昔に
当時パレスチナの地を治めていたヘロデ王が
自らの誕生日に盛大な式典を開いた
その際、美しい舞を演じた少女にいたく感動し
欲しいものは何でも授けると約束した
少女は、欲しいものが無かったので
大好きな母親に、一切の判断を委ねることにした
母親は、以前から憎んでいたヨハネを殺し
その生首を皿にのせて運ばせるようにと
ヘロデ王は、ヨハネとは親しい仲だったのだが
大勢の来賓や家来達の前で約束した手前
反故にすることができず、ヨハネの斬首を実行し
皿にのせた生首を、少女に渡したという
彼はとても大柄で、いつも列の一番後ろだった
髪は丸刈りで、体育は何をやっても得意で
日に焼けた健康的な笑顔がまぶしかった
いつもいじめられていた僕を、かばってくれて
弟のようにかわいがってくれた
僕は、彼から初めて誕生日会に誘われた
とてもうれしくて、必ず行くと約束をした
しかし、母親から教義に反するので
誕生日を祝うのは今後一切許さないと
幼稚園の頃は、普通にお祝いしていたのに
周りには一切話していなかったのだが
宗教上の理由で参加できない旨を伝えた
それからは、今まで通りつきあうことはなく
お互いに距離というか、溝ができてしまった
幼いながらも、僕は思った
誕生日に殺人があったのは良くないことだが
約束を破った僕は、殺人者以下なのではと