へいちょー石川の自作小説 -9ページ目

へいちょー石川の自作小説

ライトノベル調の自作小説を投稿しています。まだ完成度が低いので人にみられたくありません。
ブログとして活用していません。

俺は理想を追い求めている。
正体のわからない正解を。
その人生の理想(せいかい)を求めている。求めて、それをこの手にしなければならない。
自分の今までの悔恨を報いるために追い求めなければならない。
その理想の先には何が待ち受けているのかわからない。善と悪のどちらかわからない。
わからない。
けれどこれは使命なのだと思う。
今まで犯した罪、これをも許されるほどの報いをしなければいけないと思う。それが理想の先だ。
「天下一勃発決戦」。
そこを目指す必要がある。
たとえそこで優勝し、名誉を与えられたとしても、俺は理想を手に入れられるのかわからない。しかし、ひとまず目指す場所は決まったはずだ。
まずはそこで優勝する。
そうすれば、その先に何かあるかわかるのかもしれない。
自分の追い求めたものが...。
どのくらい時間が経ったのだろうか。
俺はまだ血で赤く染まった拳を握りしめていた。ほんの一瞬で過去を回顧し、決断したような気がした。
何か不思議な気分だ。
そして、目の前で首がない死体をバツの悪そうな顔で見遣る。
俺が殺した人。
今頃気づいたが、その血だまりに横死しているのはあのピーナッツ野郎だ。
それを知ると焦りが萎んできた。
俺は何て最悪な人間だ。
自分の神経に呆れる。何で俺はこんな可笑しな人に...。
俺は自分が嫌いだ。
自分を日々嫌悪する。素はこういうやつなんだよ...。
今までは役を演じ切っていただけだ...。詐欺的なやつだな...。
ましてや自分まで騙すほどの...。

.......「俺」は本当に「俺」なのだろうか。

役を演じている時はまるで、それが本当の自分だと信じ切って居た。
グレン・ヘルシャヴィンは常にかっこいいを求めている人間だ、と。
この固定観念が脳に住み着いてた。
しかし俺は実際そんな脳なしのやつではなく、常に人の顔色を伺い、思慮深く、自分自身のためにしか行動せず、残虐な悪党だ。これが仮面のしたの素顔だ。
しかし、仮面を被っている間は全く俺は悪党だという認識がなかった。
そういえばいつからかだ?俺が自分自身で認識できるようになったのは...。
顧み、慮ってみたがあまりわからなかった。
頭がこの短時間で膨大な情報を処理できていない。脳が追いついていないのだ。頭が疼く。
このまま疼痛が継続するのもこの先に支障を来たすので一時的に脳から違和感を意識しないようにした。
そうしたら徐々に痛みが薄れる。

「そろそろ行動をしなければ...。」

まだ少女と戦った場所から離れていない。
そして、側壁に嵌まり込んだ蜘蛛型モンスターが徐にピクピク触角が動き、今にでも意識が覚醒しそうな予感がする。
俺は危険をすぐさま察知し、とりあえずこの岩道から離開する。
駆け足で別の岩道を走る。
なるべく足音を静ませる。
すると別れ道が出てきた。いつ蜘蛛型モンスターが追ってくるかわからない。
俺は勘で右方を選択し、そのまま走り続ける。
.......やけ静かだ。
物音一つしない。
すると、突如と側壁が発光し始めた。

「なんだ?!」

それに続いて、床、天井。
洞窟内全てが光明がさす。
反射的に瞼を伏せ、目に右手を当て、目を光から遮る。
しかし、それでも眼孔は微光に少し刺激され、痛い。
俺は両手で目を覆い隠す。
少しは容態が良くなった。
にしても何だこの眩しすぎる光は...。どういう状況だ。
俺はただ無抵抗にこうするしかなかった。
すると途端に地面の岩が断層のごとくずれ、高低差が激しくなる。
左右の足の地面の高さがだしぬけに変異したせいで、踏み場が悪くなり、岩から転げ落ちる。
その岩の下には地面みたいな支えの物がなかったのか、俺はどこかへ吸い込まれるようにして意識を失った。

虫のせせらぎが聞こえる。それが幾つも重なり綺麗なハーモニーを作り上げている。
目を開けてみる。しかし、さきほど終始目を閉じていたせいか、目を開けようとしても視線の先の物が眩しく、開けれなかった。
俺はそっと少しずつ開けて行く。
眩しかった物は豪炎の神球(プロミネア)だ。
木々の隙間から光が差し込む。
これは目を開けた状態でみても、閉じちゃうな...。
朱色に光っている小さな球体だ。
しかし最近研究者によるとそれは実際さらに大きい物であるらしい。
この世界よりも...。
こいつはいつもこの世界に光を送り、森羅万象を保っている。
時には光を過激に与え、人々に罵倒され、また時には少量の光しか送らずそれでも罵られる。適度な量でないと人間は納得しない。
人間とは悪だ。
しかし、俺はその中でも一番の悪だ。
プロミネアのことなんて全く気にかけたことがない。
果たして何年ぶりだろうか。
こいつを見て深く考えたのは...。
そんな底の浅いことを考えていると、つい自分の状況をど忘れしていたようだ。
俺は地に座っている状態から、立って辺りを見回す。
周囲は鬱蒼とした樹木に覆われ、俺がいる所にだけ不自然に何の完成品の草木も生えておらず、巨大な樹木の幹の底のところしかなかった。
ここはあの暗澹なダンジョンがあった場所だ。
俺を地獄へと誘った...。
ここにいると不快になる。吐き気までも喉の奥から込み上げる。
俺はごまかすように、直ちにこの場から去る。
鬱蒼とした森林の中を走って、樹木を持ち前の身体能力を使って躱(かわ)しながら走る。
あっという間に森から抜け出し、草原へと出る。
見渡す限り黄緑色の草が広範囲に広がっている。自然の新鮮で感慨深い香りが鼻孔を擽(くすぐ)る。そしてやがてそれが口や皮膚にも当たり、体全体を洗礼させる。非常に心地よい...。久々にこうも自然を堪能したものだ。
やけに精神が安定している。逆に少し怖い予感が...。
とりあえずひとまず町の俺が宿泊している宿屋に戻ってから目的を考えるとしよう。
そうすれば時間はどれほど経ったんだろう...。
俺は懐にしまってあった時計を取り出す。そういえば剣聖からもらった連絡機はなかったな...。戦闘中に落ちたのだろうか。
そして時刻は午前の6時。
あれからほぼ半日近く経過していた。
ということは....。
予選は確か午前の8時から...。
俺は無意識に足を全力で動かし、町へ走り戻る。さきほどの疲労をもろともせず、走る。
目の前に見えた...。
あともう少しだ...!
早く、馬車を借り隣の比較的大きい町(もう都市レベル)へ行かなくては...。
あと少しだ...!もう目の前だ!
俺はただ走る。
そこで、町が余りにも静寂に包まれていたのが少し遠くからでもわかった。何時もは入り口では探索者が行き交い、情報交換や手柄の見せ合いなどをしていたはずだ。
それが日常茶飯事だ。
しかし、その入り口は今では人だれ一人いなく、殺風景だ。
俺は足を止めた。
心がじりじり締め付けられる。なんだこの嫌な予感は....。
得体の知らない物が感情の一つ一つを襲ってくる。
ダンジョンに閉じ込められ、俺が変貌した時に場にいた者が俺を見ていた時の感覚に近い。
僅かだか焦燥感も溢れる...。
.......何でこんなに静かなんだ。
俺は少しずつ歩行する。
そして入り口を抜け、さらに奥へと向かう。

誰一人といない。

家屋の窓の中は明かりがなく、暗闇だ。どこの家屋でも同じだ。

誰一人としていない。

そして、無音....。
風の靡(なび)く音まで聞こえる。

ここは、いつの間にか無人町へとなっていた。