目を開けると、反射的に目をまた閉じてしまった。
どうやら光みたいなものが目前にあった。おそらく電気だろう。
つまり、ここは室内なのか...。
それから、「魂」だけの存在だったので、皮膚感覚が優れず、気づかなかったが、目をしたにやると布団をかけていた
ここはベッドの上のようだ。
だから電気が目の前なんかに...。
次はベッドに仰向けのまま、辺りを見渡してみた。
だいたい6畳ほどの部屋だ。一目みて洋風だと思った。
寝ているベッドの横には、棚が一台あった。それ以外には、机、タンスらしきものもあった。
何か味が無い部屋だな...。
それがこの部屋の第一印象だ。
しかし机の上に少女が身に付けるような、髪留めが置いてあった。
俺は慌ててベッドから飛び退いた。
もしかして、ここに少女と呼ぶ年齢の女の子が住んでいるのか!?
すると、ドアが開き誰かが入ってきた。
どこか懐かしいような、そんな感じがした。
一人の少女がこの部屋の中へ入ってきた。男と女が狭い部屋で二人きりだ...。
俺の心臓の鼓動がいきなり跳ね上がった。なぜこんなシチュエーションになっているんだ...。
止まらない。止まらない。
胸騒ぎが止まらない。
なぜだろう。まだ相手の顔もはっきりみていないのに、こんなにも緊張しているのだろう。
俺は改めて彼女を見た。
「起きたみたいだね。」
その声を聞いた途端、体の全神経が脈動した。やばいやばい。なぜこんなにも...。
咄嗟に深呼吸をした。
俺が大袈裟に手を大きく広げて深呼吸している様をみて、彼女が少しにこやかに笑った。
そんな笑顔を見るとまた心臓が....。
俺は目を瞑った。
精神は落ち着いた...はずだ。
改めて対面する。
「えっと...君はっ...だれ?でここはどっ、どこ....。」
何か記憶喪失の人みたいな答えになった。
まぁ一応記憶は欠けている部分もあるが...。
「ん?おぼえてない?君は、外で倒れてたから、私が家に連れてきたのぉ!。」
「はっ?、連れてきたってっ...誘拐じゃあ?あははっは、そんわけないか。」
「あたりまえだよー。処置の仕方に迷ったから仕方なくね!。」
「処置の仕方って...おいっ...。」
そんな心地よい会話が続いた。
こいつと話すと何か楽しいような気持ちがあった。
「ねぇねぇ君君!名前なんて言うのー?。」
あぁこの質問来た...。
俺は記憶が色々と削られたんだ...。色々な大切な記憶を忘れてしまった。
「名前は...わからない。」
「えっ?それ、私もー!。」
「はっ!?。」
彼女も自分の名前がわからなかった。自分だけではなかった。
そう思うと少し心強くなった。
しかし、彼女は逆に名前がなくとも平気そうだ。なぜだろう...。
「実は、私...記憶障害起こしてて...。なーんにも覚えてないんだー。」
そう彼女は言った。
俺はそれに絶句した。何も覚えてない。それはつまり、自分を自分として認識できないのではないのだろうか。
記憶がなに一つないのなら、自分についての情報もなに一つわからないからだ。
俺は自分が情けないと思った。
俺よりずっと記憶がないのに、俺と違ってこんなにも活発で...。
そんな俺の顔を彼女は覗き込んで、首を傾げた。
まぁ意味がわからないだろうな。
いきなり俺がこんな寂しい表情になっても。
そして、俺はあることに気がついた。
「いやぁ...君は凄いよ。俺よりずっと...。」
彼女は「自分(魂)」のことが見えていたのだ。
神様は誰にも見えないと言っていた。しかし彼女は見えた。見た目からわかるが決して彼女も自分と同じ「魂」ではない。
少し普通じゃないと思うが、普通の人間でも見えたのだ。
俺はとても嬉しかった。
理解してくれる人ができたと思った。
俺の表情が変わり、首をさらに傾げた。もうそれ以上首が曲がれない位に。
その様子を俺はみて、ちょっと可愛くて、にやけた。
「はてっ?...。」
この短い間、彼女のために尽くそう、と俺は決心した。