お正月のおせち料理(煮豆、えび、昆布巻き、栗きんとんなど)が、普段の食卓に並ぶお惣菜と何が違うのか。

そこには**「保存性」「見た目の華やかさ」「込められた願い(意味)」**という3つの大きな違いがあります。詳しく解説します。


1. 味付けの違い:保存性を高めている

おせち料理には、「三が日は家事(火を使うこと)を休み、神様をお迎えする」という風習があります。そのため、普段よりも味付けが濃く、甘みや塩気が強いのが特徴です。

  • 糖分: 栗きんとんや黒豆がかなり甘いのは、糖分を多くすることで腐敗を防ぎ、常温でも数日間保存できるようにするためです。

  • 火の通し方: 昆布巻きなども、普段よりじっくり時間をかけて煮込み、中心までしっかり味を染み込ませて水分を飛ばしています。

2. 素材と見た目の違い:最高級の「ハレ」の食材

前回の「かまぼこ」と同様、お正月用は素材のグレードが格段に上がります。

  • 煮豆(黒豆): 普段は普通の黒大豆ですが、おせち用は**「丹波黒」**などの大粒で皮が破れにくい最高級ブランドが使われます。錆びた鉄釘を入れて煮ることで、普段の豆よりも「漆黒のツヤ」を出します。

  • えび: 普段のむきえびやエビフライとは違い、おせちでは**「姿煮」**にします。長いひげと曲がった腰を「長寿」に見立てるため、形を崩さないよう丁寧に調理されます。

  • 栗きんとん: 普段のサツマイモ煮とは違い、**「クチナシの実」**を使って鮮やかな黄金色に染め上げます。これは金銀財宝を象徴させるためです。

3. 「意味(言霊)」の違い

普段のおかずにはない「特別な願い」が1つ1つの料理に込められています。

料理 普段の捉え方 おせちとしての意味(願い)
黒豆(煮豆) 健康に良いタンパク質 **「まめに(勤勉に)」働き、「まめに(元気に)」**暮らせるように。
えび 美味しい海鮮 腰が曲がるまで長生きする**「長寿」**の願い。
昆布巻き 食物繊維豊富な副菜 **「よろこぶ(養老昆布)」**の語呂合わせで、一家の幸せを願う。
栗きんとん 甘いデザート 漢字で**「金団」**と書き、金運上昇や商売繁盛を願う。

なぜセット(重箱)に詰められているのか?

おせち料理を「重箱」に詰めるのにも理由があります。これは**「めでたさを重ねる」**という意味があります。

普段はお皿にバラバラに盛り付けますが、お正月はそれらをぎゅっと箱に詰め合わせることで、「幸せが重なって届きますように」という祈りを込めているのです。

💡 余談:最近の変化

最近では「甘すぎるのは苦手」「保存の必要がない(冷蔵庫がある)」という理由から、あえて薄味に仕上げた「生おせち」や、洋風・中華風の具材を取り入れたおせちも増えています。

おせち料理は、いわば**「食べるお守り」**のようなものです。普段食べているものと同じ材料でも、お正月は「色・形・味」すべてが特別な意味を持つように作られています。

次は、これらのおせち料理を**「いつ食べるのが正しいのか(大晦日か元旦か)」や、「余った時のアレンジ方法」**についてお話ししましょうか?