涅槃の夢 | 孤高の狼といふ者の旅日記

孤高の狼といふ者の旅日記

自身3度目のブログ。昔気質な性格故に、雲の流れの様に身を任せる事が中々できないのがもどかしくも、そんな己が心身の鍛錬と共に、思う事、起こった事を淡々と綴る。全てを捨てた漢の流離いの先にある心の美醜とは!?

此の山あいにある漆器の町も厳しい暑さが続く。

日中、此処の喫茶店からアスファルトの道路越しに山を見ていても、その風景は歪んで見える。

その陽炎の風景、そして私の顔に当たる熱風から、私の脳裏には一年前の今頃、駆けた風景が蘇ってくる。

長野以北の道、そして北海道の雄大なる自然…

あの時、私の胸に抱いていた目前の試練という「炎」は、今の私にもあるのだろうか⁈
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*古民家の庭に溜まっていた古材や庭木を一掃。軽トラ二杯分、そして其の火力から、私も干上がる?
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そして、その答えは「涅槃(ねはん)」か…??
涅槃の意味…風が炎を吹き消すの意。

そんな揺らめきが誘(いざな)う過去の旅における美しい風景へと吸い込まれそうな思いに耽る事が出来るのも、此処でのひと時がユルリと流れるからであろう。

だが、ユルリとはいえ、実際には(ブログを更新しようと思っていた)7月末に突然、北海道や東北をバイクで駆け巡っていた滋賀の親父さんから、急に此方に寄るとの連絡が入り、そのまま此処の古民家に宿泊、それと入れ違いに、関西や関東の若い子達が泊まりに来られるという、ある種の刺激的な日々が続く。(8/3からは東京の芸術家の卵達が滞在)

そういう意味では、私の心は季節同様、熱さを帯びる様な躍動感があるともいえる。

そんな数々の出来事の内、刺激的な事象のみをピックアップして綴ろう。

一つは、私の「信」たる滋賀の親父さんが来られ、此処の女将さん、及び私の心を見てくれた事だ。
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*親父さんのバイク。歳を重ねられて手放される時は「(可愛い息子みたいな?)私に譲ってください」とおねだり(笑)

親父さんは、帰宅後に私にメールをくださり「女将さんは気遣いが上手だし、貴兄の母の様な優しさがある」と評価しておられた。

私には、滋賀の親父さんからの此の言葉が何よりも嬉しかった。

私が自らの心の内なる声に従って此の地に足を運んだ理由、そして今は女将さんや地域の方々と縁を頂いており、その縁に何かしらの助力をしたい事を親父さんには伝えたのだが、それに納得されたのだ。

我が母上、そして滋賀の親父…

加えて、私は今回初めて此の言葉を用いよう!

此処の女将さんは、私にとって「福井の母」でもあり、我が「厳」の存在とも言えると。

「厳」とは文字通り、己に対する厳しさであり、私は其れに於いて一目を置くに値する人物を旅の中で求めていた。

普通に考えるなら、私のストイックさ以上のモノを持つ方を描くものだが(ご自分の息子さんに「鉄の女」と言われる、茶道の先生も考えられたが)、私には自分の母上以上に厳しさを持つ者が思い浮かばない。

そして、此処の女将さんは天真爛漫な性格故に、凡そ「厳」とはかけ離れた存在とも言える。

だが、私は現に女将さんの存在のお蔭で(野で何時間もノンビリと寝ていようが「いつでも、いつまでも好きにしたら良いよ」と何も言われない等)今というひと時を謳歌させて頂いており、その一方で、その優しい言動を伺う度に自分に対しては常に「厳しくあらねば」と思いたくなるのだ。

だからこそ「福井の母」には、今まで通り、若しくは今以上に寛ぎを感じて頂きたい。

その為に、私の拙(つたな)いながらも心からの感性による表現力を活かしたり、微力ながらも私の労働力を提供したくなる。

そして、願わくは其の行動が私の母上や滋賀の親父さんへの功徳と繋がって欲しい。

そんな思いを改めて色濃くさせた我が「信」の訪問であった。

次点は、滋賀の親父さんが立った日、関西から(将来はホテルのフロントやバスの添乗員、ツアーのプランニングを希望する)学生、そして関東からNPO法人の方々や小学生が泊まりに来るとの事で、私なりに考えた「おもてなし」についてだ。

今となっては毎度の事だが、今回生けたモノもソコにあるモノを使っただけである。

花々だけは、体調を崩され静養されている茶道の先生宅に咲く花を活用させて頂いた。

しかし、このグラジオラス(ピンクの花)は幹が湾曲しており、とてもではないが真っ直ぐ立てて生ける事が出来ない。

よって、花瓶の類いは脳裏から離し、古民家の庭にあるモノを活かす。

それが下の写真だが、何かを意図したのか?と問われたら「何も(考えてません)」としか答えようがない程、思った様に手を動かしただけなのだ。
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でも、此の花のテーマを考えた時、此の日記のタイトルが即、浮かぶ。

さて、そんな花で迎える連日のお客さんはどう見るだろうか⁈

学生、最終日に来た小学生、法人の方…

最終日の夜になっても、特に何も無く()…という流れではあったのだが、やはり見る目のある方がおられた。
(…女将さんや小学生達に自然の遊びを指導される地元の方は一目見て美しさを感じ、声に出されている。女将さんに至っては「これまでで最もシンプル、且つ季節が感じられるモノですね」と。その感想の言葉こそが最も美しい!)

お風呂上がりの仄々(ほのぼの)とした雰囲気で生け花の感想を述べて来た彼女は芸術やイベント等を企画するNPO法人の女性である。(教員資格も所有しているが、芸術性に憧れ今の職に至るのだという)

(女将さんによれば、落ち着いた声をされるとの事だが)物静かな顔立ちながらも、内には教養というモノを存分に携えるのが、よく分かる。

そんな彼女が「あの生け花は、とても美しいですね」と。

私は女将さんを見て微笑む。

そこからは、夜更けまで互いのこれまでの事を語り合ったものだが、私には、とても淡く穏やかなる風が流れていた様にさえ感ずる。(日中は酷暑だったが、其の時ばかりはそれを感じなかった)

夜が更けた上に、明日も彼女は学生や小学生の相手をする事から、私から就寝を促したものだが、この様な空気なら、海を望む丘へと場を移すと、どんな薫りをもたらすのだろう⁈

その後の女将さんは私を揶揄するかの様に「いい女性だね。狼君も気に入ったんじゃない?」と仰ったが、私はどんな顔をして応えたのかさえ覚えていない…

つまり、どこからか吹いた心地良い夏風が、私の心の「炎」を鎮火させる夢(=涅槃の夢)だったのか?

それとも、熾火(おきび)から再び、灼熱の「炎」へと移るのだろうか…
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◎オマケ
*椀で縁を結びたいと考えておられる民宿の意図を縦横2m程あるツツジに表してみた。(拙いものだが、一応お椀のつもり)
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*断捨離は全てに!をキーワードに。以前は、この壁にもたれる形で木が沢山あり歩きにくかったのだ。
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*土が見える部分に雑草や庭木等を置いていたが撤去。おくどさん(=昔の竃)を作りたいが、暫定的に燃やせる場を設置。
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*この微妙な暗さが何とも言えない。
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*小学生達と引率した学生や法人女性達の憩いのひと時。夕刻から疲れて寝ちゃったのは誰かな?小学生が言った言葉が全てを表している。「とても居心地が良い」と。私は女将さんに「無垢な子供に此の言葉が発せられるのは、誠に素晴らしい場でなければあり得ません。此の古くも良き伝統を守りましょう!」と。
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*今日は地元のおじいさんが足を運んでくださり、私達に竹ぼうきの作り方を御指南くださった。
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*先の柴は、西山公園のレッサーパンダが食べた笹を使っているのだ。レッサーパンダの唾液付きホウキですが、如何?(私と女将さんが作ったホウキは…、笹がとんでもなく沢山付いたモノに^^;)
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*市販のキュウリは左下。右の様なキュウリが此処の無農薬畑で採れます。これなら、漬物には困りませんね。メロンが好きだと仰る女将さんの為、屋久島で出会ったラガーM君に新鮮なメロンの郵送をお願いすると、本人は鹿児島に移動しているという。行動範囲が広い事に驚かされるが、彼の明るくポジティブな性格なら、行く先々で会う方々と面白い縁が出来るであろう。又、変なポーズを写真に収める為に(?)会う事が出来る日を楽しみにしてます。私のストイックさを追い越せる勢いで頑張れ、M君!そして美味しいメロンを宜しくね(笑)
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*以前、お世話になった長野の女将さんより、誕生日プレゼントが届いた。此れは何とも「厳しくも優しい」プレゼントです。有難う御座います!
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