2011年、文春新書
鈴木智彦氏の本を紹介するのは、『ヤクザと原発』 に引き続いて2回目である。鈴木氏は、ヤクザ専門ライターとして知られており、この本では彼の15年にわたる取材で得られた情報がこれでもかと詰め込まれている。
ヤクザ関連の本というと、実録雑誌の提灯記事のようなものが思い浮かぶが、鈴木氏のスタンスは違う。ヤクザの是非を問うわけではなく、ヤクザ社会とはいかなる社会なのか、ヤクザとはいかなる人間なのかということを分かりやすく伝えようとする姿勢が感じられる。
加えて、潜入の深度は注目に値する。大阪で手本引き(伝統的な賭博)の現場に潜入するシーンなどは、類書の追従を許さない迫力がある。また晩年の加納貢との交流なども、正直、驚かされる。
無論、鈴木氏がすべてを語っているわけではあるまい。それでも本書は、堅気の人間には知り得ない世界に肉薄していると感じさせる。英訳してもかなり売れるのではないだろうか。
