その日は突然やってきた。
 
金曜日の夜、帰宅してから自分の夕食を用意しに台所に行ったらヨメがいたのだが、すれ違いざまに突然、
 
「もう弁当持ってかないから平日の夕食分だけ料理作って」
 
と言うではないか。
 
一応子供が大学に行くようになればたぶん弁当は持って行かないだろうなと想像はしていたのだが、作り置き料理を減らすように言われるなら4月になってからと思っていたんで、正直面食らった。
 
で、今までは毎週食材費を5,000円と決め、1ヶ月分で20,000円として、その分家に入れる生活費から控除していたのだが、それもナシとの事。
 
突然の事でイマイチアタマを整理出来ず、翌朝諸事項の再確認と何品作るかなどをヨメと調整した。
 
まず、弁当に入れられるモノという制限は外されるため、汁ものもOKだし、一番大きいのは、弁当に入れると傷みやすいからと禁止メニューになっていたカレーライス用のカレーが解禁された事。
カレーは、具材を変えればかなりのバリエーションで作れるんで重宝するんだよね。
 
あと、作る品数だが、平日夕食の作り置きが始まった当初は、肉系1品9人前、魚系1品6人前の2品を1,000円以内目安作っていた。
が、毎週11品も作ってたのに、また2品に戻すとせっかく効率よく多種作るテクを身に付けたのに腕が鈍るとイヤなので、コチラからの提案として肉系3品、魚系2品の5品は作るようにした。
一応次期開業のための修行の位置づけでもあるしね。
 
が、メインメニューを5品作るとなると原価の問題が生じる。
 
11品であればメインメニュー5品で3,000円以上使っても、サブメニュー6品で帳尻を合わせてたのだが、それが出来なくなる。
 
一応、今までは6人前を目安に作ってたのだが、3人前にしたからとそう原価が安くなる訳でもないし、食材費が自腹となるとあまり掛ける訳にも行かなくなる。
 
が、まあ、自分の修行のためなら投資だと思えばイイし、余計に作った分は自分の弁当に回せばイイし。
一応3,000円以内を目安にしてなんとか月に10,000円前後にしたいところ。
 
そして、だからといって自分の平日夕食のサブメニューをヨメに作らせるのもアレなんで、それも自分で作ると。
コチラは、メインメニューの余った食材などで出来るだけ費用を掛けないようにする。
コレも一応修行のうちだしね。
 
とまあ、諸条件としてはこんなところなのだが、5品がノルマとなるとめちゃめちゃ楽チンになるし、自分のサブメニュー分は好きに作れるし、何より料理が楽しんで出来るようになるのが大きいなと。
 
今までは、もう追われるかのように毎週11品考えて必死に作ってたのが、5品なら考えるのも楽だし、1品ずつ丁寧に作れるし。
やっぱせっかくの料理なんだから楽しくないとね。
 
 
という訳で、ちとこれまでを振り返ってみたい。
 
先にも書いたが、おかず作り置き料理は、俺が家に生活費をあまり入れられない代わりの家事として、当初は平日の夕食のメインおかずを2品のみ作る事で2017年の4月から始まったのだが、そのうち節約のために自分の弁当用のおかずもついでに作るようになった。
 
が、子供が高校に入学して弁当が必要になった2020年の6月末からヨメに弁当分も併せて作るように指示があり、先にも書いた費用の取り決めをして当初は10品作ってたのだが、そのうち11品にするようになった。
 
作るのは、当初は日曜日のみ。
が、その頃は10品で約5時間と時間が掛かってたので、午前中から初めて昼食をはさんで午後までやって、片付けまでするとほぼ1日仕事だった。
 
が、そのうち昼食は料理しながら適当につまみ食い等で済ませるようにし(笑)、通しで料理する事で時短にもなるようになった。
 
更に手際もだいぶ良くなってきて、11品に増やしながらも4時間前後で作れるようになった。
 
が、それでも日曜日の午前から午後というのは変わらないんで、土曜日の午後と日曜日の午前中に分ける事にした。
 
そして土曜日になるべく多く作るようにし、土曜8品、日曜3品というのが定着した頃から一気に時短出来るようになり、一時は3時間を切るところまで行った。
 
が、最近は冬のキッチンがあまりに寒いんで土日とも午後料理するようにし、どちらも料理前に玉河&坂道ブルイングで飲む事もあって、酔っ払ってるのが原因でまた時間が掛かるようになっちゃってちと困っていた(笑)
 
あと、やはり毎週毎週11品を考えるのもかなり苦痛にはなっていた。
 
単純に11品ぱぱっと考えるのではなく、例えば過去と同じメニューならその間隔に気を使ったり、同じ豚肉でも先週が煮物なら今週は炒め物にしたり、同じ食材を使いまわせるようにしたり、時短できるように並行調理出来るものも入れるようにしたりと、結構色々とアタマを使わなければならず、コレだけで一仕事だった。
 
 
が、間違いなくモロモロの苦労が次期開業への良い修行になったし、きっと役立つだろうと思っている。
 
また、今までなら作る事のない和の煮物類なんかも色々と作ったのもかなり勉強になった。
まさか自分が切り干し大根煮とか金時豆煮とか作るとは思いもしなかった(笑)
煮びたしなんかも作ったし、卯の花も作ったしね。
おかげで料理の上手いお袋にかなり近づいたと勝手に思ってるし(笑)

とにかく前にも書いたが、手際やら火の通し方やら煮崩れ防止やらのテクニック的な上達も去ることながら、味付けに絶対的な自信が持てるようになったのが一番の成果かと思っている。
 
 
という訳で、約3年続いた義務としては11品料理はコレにて終了となった。
 
ホント色んなメニューを考えて作ったが、楽しさ半分、苦しさ半分だったかな。
 
料理はコレからもずっとするんで、楽しさ比率をもっと増やすようにしたいと思います。