アジのその後② | フランス料理店  レヴェイヨンのブログ

アジのその後②


ちょっと前
 船釣り好きの知人に頂いた庄内沖の真鯛


自分のじゃないところが

くやしぃ~

そいつに注射を
ぶすーっ
動脈から塩水を注射してます

血管の中を洗うイメージです

このあと内臓を抜いてからきれいに洗い、ウロコを付けたまま氷冷蔵で熟成させます
大型の白身魚を少し長めに熟成する場合はこの方法が有効だと今のところ思ってやってます
大それた設備は用意出来ませんが
個店で出来る範囲で向上を目指そうと思います



アジのその後です
上アリ 下ナシ
こちら3日後の写真

2日後の写真も撮りましたが
光の加減や個体差で判りづらかったので却下

3日寝かせてみた感想は
ナシとアリの差が無くなってきた、です

見た目 アリの白く濁った感じがクリアになってきて、ナシの透明感のある赤黒さが赤クリアになってきてます

食味 アリは少し水っぽく、身質も緩く感じたのがプリッと感が出てるし味も水っぽくなく美味しい
ナシの、生けの魚のような食感だったのがゆるみ始め良い具合の食感になり、甘みもあります 比較的ナシの方が香りや甘みがあるような感じがして旨味を感じました

このことから考えてみると
アリは身に含んだ水分が抜けたことによる 変化、ナシは死後硬直を経た後に良い具合に熟成が進んだんだと思います

3日経ってもどちらも鮮度に問題なく、香りも良く味も大差なく美味しいということは…

アジを自分で釣ってきた場合の対処に限った自分の 勝手な結論は

・釣り上げたらすぐに脳締めし冷たくした海水で〆る、血抜きはしない→暴れてエネルギーを消費してしまわないように脳締めをして動きを止めてからサッサと冷やして〆る

・持ち帰るときはクーラーの水を抜く→冷えたら長時間水の中に浸しておかない

・帰ったらすぐにエラと内臓を取り除き水道水できれいに洗う→海産物は必ず真水で洗って食べましょう

・水気を拭き取ってから、紙を敷いた袋に入れ、氷水の中で保管→紙で余計な水分を吸い取ったり、逆に過剰に水分を取ってしまわないようにラップで巻いたりしながら調節する

ちなみにこのやり方で1週間まで寝かせて検証してみました
1週間目になると少し干物のような香りが出てきて、身は少し柔らかく感じましたが刺身でも美味しく食べられました

ですが何でも長く寝かせたからといって美味しくなるわけではありません 
世の “熟成“ というキャッチコピーにだまされてはいけません!
熟成(発酵)と腐敗は紙一重です
ご家庭では無理に長く寝かせずに新鮮なウチに早めに食べましょー

また新たな自論が生まれましたらお知らせしたいと思います
シェフでした。