ディープ広島城 徘徊記 | ひとり釣りして食って寝る in広島

ひとり釣りして食って寝る in広島

ひとりで孤独に釣って自分でさばいて地酒片手に食って寝る。でも時には誰かと並んで釣糸を垂れていたい雑魚釣り専門サラリーマン。



広島城。






1589年、秀吉の五大老・毛利輝元によって築城され、

名古屋城・岡山城とともに日本三大平城の一つに数えられている。




創建から一度も戦禍に見舞われることなく古式を伝えていた、複合連結式望楼型5層の大天守は、

原子爆弾によって爆砕されるまで国宝にも指定されていた。


(現在は再建されている)





先日、会社帰りにその広島城の前を通りかかると、二の丸の辺りが何やら騒がしい。





人の流れに乗って、表御門から入城す。
あ、なんかイベントやってるー。







広島燗酒フェスティバル2019やー。


県内の酒蔵が集まって、花冷えの季節に燗酒(かんざけ)を振る舞う恒例イベント。

あ、有料やで。





せっかくなんで、原本店の純米吟醸「蓬莱鶴」と、賀茂鶴の純米吟醸「一滴入魂」を、

雨上がりで蒸し暑かったので、冷やで所望。





堀の石垣を肴に乾杯。



あれ、お猪口2杯程度の酒量なのに酔いがまわる。

蓬莱鶴が原酒だったんかなー?





ほろ酔いついでに、広島城内の徘徊を開始。






これは、原爆で黒焦げの幹だけになり、そこから復活したユーカリの巨木。





幹がよじれているのは、核への怒りだ、と表現する人もいる。





しばらくすると、薄暗い一角に、城には場違いなコンクリートの構造物が目に入った。



まるで廃墟のようなこの構造物は、一体何なんだ?






上部に回ってみる。






うーむ、あまり写真は撮らない方が良さそうだ。





これは、中国軍管区司令部・防空作戦室跡であった。




1945年8月6日の原子爆弾投下により、広島は一瞬で壊滅。



通信網が完全に破壊された中、

学徒動員の女学生が、地下の防空作戦室で破壊を免れていた回線から「広島全滅」の第一報を命懸けで外部に発信した、

まさにその現場が目の前にあった。







その日から73年が経ってもなお、強烈なメッセージを放ち続けていた。




何ということだ…

わたくしは今、何万という屍の上で酒を呑み、ほろ酔っているのだ…



何万という屍の上で何事も無かったかのように生きている。











ハッとして我に帰る。







うちへ帰ろう。







あまりウロウロしていると、

リストラされたサラリーマンが死に場所を求めて彷徨っていると勘違いされ、110番通報されかねない。








広島城は、単なる文化財ではなかった…。