名古屋城・岡山城とともに日本三大平城の一つに数えられている。
創建から一度も戦禍に見舞われることなく古式を伝えていた、複合連結式望楼型5層の大天守は、
原子爆弾によって爆砕されるまで国宝にも指定されていた。
(現在は再建されている)
先日、会社帰りにその広島城の前を通りかかると、二の丸の辺りが何やら騒がしい。
広島燗酒フェスティバル2019やー。
県内の酒蔵が集まって、花冷えの季節に燗酒(かんざけ)を振る舞う恒例イベント。
あ、有料やで。
せっかくなんで、原本店の純米吟醸「蓬莱鶴」と、賀茂鶴の純米吟醸「一滴入魂」を、
雨上がりで蒸し暑かったので、冷やで所望。
蓬莱鶴が原酒だったんかなー?
ほろ酔いついでに、広島城内の徘徊を開始。
しばらくすると、薄暗い一角に、城には場違いなコンクリートの構造物が目に入った。
上部に回ってみる。
これは、中国軍管区司令部・防空作戦室跡であった。
1945年8月6日の原子爆弾投下により、広島は一瞬で壊滅。
学徒動員の女学生が、地下の防空作戦室で破壊を免れていた回線から「広島全滅」の第一報を命懸けで外部に発信した、
まさにその現場が目の前にあった。
何ということだ…
わたくしは今、何万という屍の上で酒を呑み、ほろ酔っているのだ…
何万という屍の上で何事も無かったかのように生きている。
ハッとして我に帰る。
うちへ帰ろう。
あまりウロウロしていると、
リストラされたサラリーマンが死に場所を求めて彷徨っていると勘違いされ、110番通報されかねない。
広島城は、単なる文化財ではなかった…。