伊那谷の老子と呼ばれた加島祥造先生が、92歳でお亡くなりになりました。
英米文学者で、「トムソーヤの冒険」も翻訳されています。大学の教授職を退いてからは長野県駒ヶ根市に移り住み、老子の翻訳をはじめ、詩作、水墨画、数々の著作を執筆され、個展や講演会も時々開かれ、素晴らしいお話しを聞かせて下さいました。
生前にご自宅にお招きいただき、囲炉裏でお茶を点ててくださり、お話しをうかがう機会に恵まれました。
先生は、この谷は容れ物だとおっしゃいました。容れ物は、空っぽだから、何かが入れる。
何もかもを詰め込もうとしなくていいんだよ、空っぽで、いいんだよ、と。
今、先生にいただいた本を開いて、じっと文章を見つめ、想いを馳せております。
どこにいても、ここではないどこか別の場所を追い求めてしまう私への、私信のようにも感じながら…