郷愁の一冊  125 | 郷愁倶楽部

郷愁の一冊  125

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ここに一冊の本があります。



本と言っても、ご覧のように表紙も無く、ページもバラけて、

とても、本とは呼べないような状態です。




$郷愁のイラストレーション-郷愁01



この「本」は、私が生まれる前から、

我が家にありました。



それは、全集の中の一冊で、

他に、講談を集めた本や落語を集めた本など数冊ありました。

今残っているのは、

子供向けのお話をおさめた、これ一冊だけです。






挿絵=斉藤晴久 光の星 濱田広介作より 

$郷愁のイラストレーション-光の01
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赤と青との二つの星は、手桶を胸にかかへたまま、

首をのばして覗きました。

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$郷愁のイラストレーション-光の02




私は、子供の頃、この本に触れて、

挿絵の醸し出す雰囲気に惹かれました。





挿絵=久富安枝 三日目の椎の実 濱田広介作より 

$郷愁のイラストレーション-三日目04


子ツグミは目をまるくして眺めました。

それから、その木の太い幹を、

昨日のようにこつこつと叩いてみました。

すると又、同じ声が幹の中から聞こえました。

「明日おいで」



$郷愁のイラストレーション-三日目03



$郷愁のイラストレーション-三日目02





この本の絵に、なぜか、懐かしさを感じました。

過ぎ去った、遠い世界を、のぞいたような。

子供が懐かしいなんて、へんですね。






豆の花 秋庭俊彦作より(挿絵、不詳)
$郷愁のイラストレーション-豆の花






挿絵=馬場射地 八太郎の鷲 菊池寛作より 

$郷愁のイラストレーション-鷲01




$郷愁のイラストレーション-鷲02

主人公の乗った小舟が滝壺に落ちる直前、

以前助けたことのある鷲に救われる、と言うお話です。

(こう書いてしまうと、身もふたもないですね)






挿絵=村山知義(推定) 狼と子羊 北村壽夫作より 

$郷愁のイラストレーション-郷愁04




$郷愁のイラストレーション-強集05







挿絵=田中 良 イワンの馬鹿 トルストイ原作、楠山正雄訳より

$郷愁のイラストレーション-イワン01



$郷愁のイラストレーション-イワン02



油断していた小悪魔は、真っ逆さまに落ちて、

倒れた木の下になりました。

「どうぞ命だけはお助けください。

 その代わりいいことを教えてあげます」



$郷愁のイラストレーション-イワン03




この本との出会いが、のちに、

懐かしさを覚える本に興味を持つようになった、

原点だと、



思います。


*ブログをアップした後で、挿絵の作者名が判明したものがあり追加修正いたしました。
 猫の手さんご協力ありがとうございました。





「不思議の国ニッポン」のおーさん、読者登録ありがとうございました。

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