【映画】怪物(2023) :坂元裕二×是枝裕和=??? あのトンネルのむこう側 | Bokuと映画  Chackn'sBlog

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坂元裕二脚本による是枝裕和監督作品

 

故坂本龍一の遺作にもあたる

 

 

このお三方の持ち味がそれぞれ堪能できる奇跡の映画作品

 

 

「怪物」

 

 

 

2023年公開 / 126分 / 日本 (米題:Monster)

 

監督: 是枝裕和
脚: 坂元裕二
製作: 川村元気/山田兼司/伴瀬萌/伊藤太一/田口聖
製作総指揮: 臼井央
音楽: 坂本龍一
撮影: 近藤龍人
制作会社: AOI Pro.
製作会社: 「怪物」製作委員会
配給: 東宝/ギャガ

キャスト
安藤サクラ/永山瑛太/黒川想矢/柊木陽太/高畑充希/野呂佳代/角田晃広/中村獅童/田中裕子他

 

「そして父になる」「万引き家族」の是枝裕和監督が、「花束みたいな恋をした」「カルテット」の人気脚本家・坂元裕二とタッグを組んで贈るヒューマン・ミステリー。愛する我が子の異変に気づきある疑念を抱いた母親が、やがて学校側と対立していくさまを、母親や教師、子どもたちなどそれぞれの視点からミステリアスに描き出していく。出演は安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、黒川想矢、柊木陽太。大きな湖のある静かな郊外の町。シングルマザーの麦野早織は、小学生の息子・湊の不可解な言動から担任教師の保利に疑念を抱き、小学校へ事情を聞きに行く。しかし校長や教師たちの対応に納得できず、次第にいら立ちを募らせていく早織だったが…。(allcinemaより抜粋)

 

 

オフィシャルサイト

 

 

 

Wikipedia:怪物

 

 

*****

 

早速ですが

 

こちら配信にて鑑賞しましたのでやっていきましょう

 

 

舞台は長野県諏訪市の上諏訪という街

 

諏訪湖と山に囲まれた街でビルの火災が起きるところから物語は始まる

 

 

 

 

主人公は小学生の男の子、麦野湊=黒川想矢

 

 

3つの目線(3章)から物語は別れていて、

 

母親の麦野早織=安藤サクラからの目線で1つ目の話は進み、

 

2つ目の目線は学校の担任教師、保利道敏=永山瑛太で、

 

最後の3つ目の目線は主人公の湊。

 

 

 

 

時間軸を他の人の目線で見せていくことで

 

ボンヤリしていた物語の真相がだんだん見えてくるという手法だ

 

 

その他にも意味ありげな演出もあり

 

考察が生まれやすそうなシーンや台詞がいくつも存在するのは、これまでの是枝監督の作品にもよくみかけられ

 

ミステリー色が強い監督の作品には1度だけ見ても真相がつかみきれないことが多い

 

それから学校や教師の不気味な対応や

 

 

 

 

廃線にある廃墟となった電車など

 

 

 

 

 

いつもより少し現実離れしているようにも感じられるのは

 

坂元裕二が脚本を書いているからだろう

 

学校の不条理さや孤独感、

 

湊と友達の星川依里=柊木陽太との2人の世界観などが

 

坂元裕二らしい

 

 

 

そして是枝監督の世界観

 

いつものリアリティのある演出よりは映画的虚構の中でのリアリティが感じられた

 

それは意味ありげなシーンを多用したことにも感じられる

 

観ていてしつこいまでの閉鎖感の摺り込み

 

諏訪市の地理的な密閉感、ビル火災の逃げられないという摺り込み、水槽、学校、車内、トイレ、電車内などなど

 

閉ざされた感を常に強調する

 

 

そしてそこから解放される2人

 

トンネルのむこう側にはイノセントな世界が広がり

 

2人だけの世界に走り出すのは

 

坂元氏の「高校教師」にも似た感動がある

 

 

これに坂本龍一のスコアがさらに作品に奥行きを与える

 

 

この3人のバランスが少しイビツに重なることで

 

映画としての作品の完成度が上がっているのではないかと感じます

 

 

またこの作品の中には

 

いくつかのオマージュが入り込んでいる

 

 

先ずは監督が脚本を読んだときに感じたという

 

「銀河鉄道の夜」

 

それっぽい演出もある

 

そして「禁じられた遊び」

 

教会と列車内が被る

 

「小さな恋のメロディ」の最後も

 

今作の線路をオマージュしているかも

 

その他、脚本面にはニューシネマっぽさがあり、

 

「パンズラビリンス」的でもある

 

 

それと

 

 

印象的に描かれているトンネル

 

 

 

 

このトンネルは「天城越え」(1983)のトンネルにそっくりだ

 

 

 

 

田中裕子リスペクトかとも感じてしまうし

 

 

 

 

許されない愛ということにも

 

トンネルを超える先の世界と言う点でも

 

この「天城越え」のトンネルと意識しているように思える

 

 

 

 

※(ここからラストのオチについてのネタバレあります)

 

 

 

 

 

 

正直、

 

今作は個人的にはラスト含め物語が好みではない

 

この映像美や演出の完成度は非常に素晴らしいのだが

 

この2人だけの世界へ走り出すオチ

 

とても感動的なラストになっているのだが

 

閉鎖的な世界からの解放のはずが

 

さらに「2人だけ」というミニマムなイノセントワールドへ走っていく

 

ニューシネマっぽいが、その後は「対世間」や「対家族」へ向かわず

 

「2人だけ」のさらにダウナーな世界に落ちて行っているようにも思える

 

世を捨て自分の世界へと向かうのは「パンズラビリンス」的であり

 

「パンズ~」もギレルモさんは好きだが作品は好きになれない

 

 

まああくまでも私の個人的な好みの問題ですが(^^;

 

すばらしい傑作であることには違いありません

 

 

 

子供たちの演技も

 

 

さすが子供映画のマエストロ

 

 

是枝監督作品は

 

以前も申した通り

 

1度見だけでは全部把握できないので

 

なかなかここでは2作くらいしかアゲてないのですが

 

今作もたくさんの考察が飛び交う中、

 

オマージュ作品のことだけでも記事にしたく書き込みましたが

 

書き込みだすとやはりあれもこれもとなっちゃいました(汗

 

 

んなわけで終わりたいと思います。

 

 

 

では。