夜明けのうた(1965) | Bokuと映画  Chackn'sBlog

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浅丘ルリ子&蔵原惟繕監督の「典子3部作」の最終章

 

岸洋子さんの1964年の曲、「夜明けのうた」を主題歌にした人間ドラマ

 

蔵原監督のモノクロのクールな映像も見事だ

 

 

今日も歌詞から行きますかい

 

 

夜明けのうたよ 私の心の

 

昨日の悲しみ 流しておくれ・・

 

 

 

*今回あらすじ、考察アリですよ

 

 

「夜明けのうた」

 

 

 

 

1965年日本公開 

 

監督: 蔵原惟繕
脚本: 山田信夫
製作: 園田郁毅(企画)
音楽: いずみたく
製作会社: 日活

 

キャスト

浅丘ルリ子/浜田光夫/松原智恵子/岡田真澄/小松方正/小高雄二/戸浦六宏/岸洋子他

 

華やかなミュージカル公演千秋楽の夜、主演の緑川典子が仕事を終えて一息ついたのは、夜明け間近だった。身体は疲れ切っていたが、それでも作曲家・野上の待つホテルへ真紅のサンダーバードをふっ飛ばした。しかし野上は典子の唇に軽く触れただけで行ってしまった。野上は妻や世間を恐れ、情事の夜は明け方に帰っていく。燃えた身体をおさえきれない典子は、ハイウェイをあてもなく飛ばした。小田原のドライヴ・インで疲労と睡魔に襲われた典子は、居合わせた青年・利夫に東京までの運転を頼んだが、眼病の少女・千加子を連れているのを見て、K医大病院へ車をつけさせた。知り合いの医師に千加子の診察を頼むと倒れるように眠ってしまった典子は、起きたあと千加子の運命を聞かされた・・

(日活HPより一部抜粋)

 

日活HP

 

 

 

*****

 

 

まず言っておこう

 

公式HPの真紅のスカイラークは間違い。

 

劇中のスカイラークの色は白だ。

 

ルリ子さまも「断然白」と言っておられる

 

 

では行きましょう

 

蔵原監督の「典子(テンコ)3部作」は

 

1作目「憎いあンちくしょう」(1962)

 

 

日本初のロードムービーとも言われ、東京から熊本阿蘇までの縦断ロケを行い、

 

ルリ子さんはかわいらしい大人の女性を演じている

 

 

 

2作目「何か面白いことないか」(1963)は、

 

 

 

当ブログで書き込み済

 

典子はすべて浅丘ルリ子さんが演じている

 

 

そして3作目は

 

岸洋子さんのヒット曲をタイトルにした作品

 

 

岸さんも出演され曲を披露されている

 

 

主人公の緑川典子=テンコ=浅丘ルリ子、

 

売れっ子大女優という

 

浅丘本人とダブる役柄である

 

 

 

 

 

夜明け前まで仕事し

 

作曲家の愛人=野上=岡田真澄に会いに行く

 

 

 

 

野上はドライでプライドの高そうな男

 

典子との関係も冷めており遊び感覚

 

 

相手してもらえない典子は夜が明けるまで1人ドライブ

 

そしてドライブインである若者2人と出会う

 

 

 

男は車の修理工で働く利夫=浜田光夫

 

 

 

女は目を患っている千加子=松原智恵子

 

 

 

2人は彼女の目を治すため金をためて東京の病院に行くところだった

 

しかし、検査の結果彼女の目はもって半年で失明すると言われる

 

 

事情を聴く典子だがそうそうかまってもいれない

 

なにせ忙しい身だ

 

その日も新しい舞台の打ち合わせだ。

 

 

家にいるマネージャーらは連絡が取れないでいたが、

 

家に帰ると金品を取り、置手紙を残し逃げていた。

 

 

 

 

さんざんな目にあいながらも風呂に入り支度する典子

 

たくましく、これだけバイタリティがなければ大女優は務まらないのかもしれない

 

 

 

自宅で打ち合わせ

 

後ろには代々木の体育館が見える

 

前年、1964年はオリンピックだったのだ。

 

 

劇作家・真木=小松方正に

 

ホンの中身を聞かされ唖然とする

 

その脚本の内容は典子の私生活を赤裸々に綴ったものだったのだ。

 

タイトル「夜明けのうた」

 

そうこの映画と同じタイトルだ。

 

 

典子は怒り、「出ない」という

 

その後、車で怪我を負い、

 

愛人宅に電話するもいなされてしまう。。

 

 

 

夜はパーティーするも

 

その後の誘われたナイトクラブでは「夜明けのうた」をうたう岸洋子に花束贈呈が仕組まれていた。

 

 

 

 

「夜明けのうた」の舞台を楽しみにしてますと言われる典子

 

事務所から何とか出演させようという計画だったのだ。

 

その場ではニッコリしてるがスタッフには「絶対出ない」という。

 

 

岸洋子本人さん。

 

陽の訪れる東を向く岸洋子さん

 

 

 

そして反対を向く典子

 

 

 

 

夜明け前に帰る愛人がいる典子には

 

夜明けはこないでほしいのかもしれない。

 

 

そんなナイトクラブで若者2人と再会する

 

 

 

もう目が見えなくなるのなら色んなものを今のうちに見ていたいと

 

東京の夜を満喫していたのだ。

 

 

その二人に付き合う典子

 

しかし、明るくはしゃぐ千加子を「あれは彼女じゃない」と言う利夫

 

彼女は催眠薬を持っていると言い、不安がる利夫

 

典子に確認してほしいと伝える

 

 

 

千加子は強がっているがどんどん落ちてくる視力に不安でしょうがない

 

 

星空も見えないと言い泣く。

 

そして利夫のことを思い、結婚しないという。

 

お互いを気遣い合い、喧嘩する二人を見て典子は会員制のバーへ連れていく

 

 

 

二人っきりでとことん話し合いなさいと二人にさせ、

 

典子はカウンターへと移る

 

 

そこで偶然、作家の真木と会う

 

 

 

 

ここで脚本の本意を告げる真木

 

典子に一皮むけてほしいと思い脚本を書き上げたのだった

 

 

ここでの真木のセリフがエグイ

 

3年間という年月が出てくる

 

典子と会って3年だという

 

3年あれば赤ん坊は立ち上がり、言葉だって喋れるようになる

 

しかしあなたは初めて会った時の輝きが消えていく一方だと

 

大女優をつかまえて言うのだ。

 

 

典子はそれに対し、

 

前向きな若者の2人に会ったおかげで

 

少しは前向きにとらえられるようになっていた。

 

 

若者2人はというと

 

一緒になる決心をする

 

そして車へ向かう3人の足取りは

 

 

 

 

3人とも東へ同じ方向を向いていた。

 

 

典子も前向きに

 

うやむやな気持ちにもけじめをつける決心をしたのだ。

 

 

その後、愛人の野上に別れを告げ

 

1人部屋へ帰り

 

散らかったままの部屋を一心不乱に掃除する

 

 

それから「夜明けのうた」の脚本を読み

 

 

 

出演を承諾する電話をするころには

 

 

夜が明けていた。

 

 

 

 

朝日を浴び晴れやかな表情の典子

 

 

 

 

画面は真っ暗になり「夜明けのうた」の2番だけが流れる。。

 

 

このお話の脚本は

 

浅丘ルリ子にあてて書いてあると思われ、

 

作品の脚本の山田信夫さんは

 

蔵原惟繕監督の作品を多く手掛けており、

 

藏原監督同様、

 

浅丘ルリ子さんとのお仕事は「銀座の恋の物語」(1962)から

 

ちょうど「3年」である

 

藏原&浅丘のコンビ作は、この「夜明けのうた」まで山田信夫さんが脚本を書いている

 

浅丘さんへのエールを送っているような作品に思えます。

 

 

それから藏原監督と浅丘さんは当時愛人関係であったのではと噂もありますので

 

そうなると愛人の岡田真澄は藏原監督となるわけで、、、

 

事実なら本当に凄いものを見せられてるのではと思うのです(^^;

 

 

また、この作品の公開された1965年は

 

オリンピックイヤーの次の年となるわけで

 

まさに今の2022年と同じであります

 

今年はいい年でありたいね。

 

 

夜明けのうたよ 私の心の

 

あふれる想いを わかっておくれ

 

夜明けのうたよ 私の心に

 

大きな望みを だかせておくれ・・