さてさて、
さーて、
今日も名作シリーズ、行ってみましょう。
巨匠、黒澤明監督の原爆を真っ向から扱った問題作、
私個人的意見からすると、、
これは黒澤明版 「ゴジラ」だ!
「生きものの記録」!
1955年公開。
監督: 黒澤明
脚本: 黒澤明/橋本忍/小国英雄
製作: 本木壮二郎
音楽: 早坂文雄
キャスト
三船敏郎/清水将夫/千秋実/青山京子/志村喬/三好栄子/東野英治郎/千石規子
米ソの核軍備競争やビキニ環礁での第五福竜丸被爆事件などで加熱した反核世相に触発されて、原水爆の恐怖を真正面から取り上げた社会派ドラマ。当時35歳の三船が70歳の老人を演じたことが話題となった。また、作曲家・早坂文雄の最後の映画音楽作となった。第29回キネマ旬報ベスト・テン第4位。
(Wikipediaより抜粋)
*****
会社の社長、一家の主の三船敏郎。
厳格そうな70歳の父を演じております。
いかにも強そうな彼。
威厳を持ち、
また妾までいる。
生命力の塊のようなお人。
そんな父が、原水爆が落ちるから被害の及ばないブラジルにみんなで移住しようとする。
周りは、
いやいや、そう言われても、、
と、乗り気ではないわけだが、父は進めようとするので、
会社や、財産を勝手に動かせないよう裁判所に申し立てをする。
そして・・・
ってなお話ですが、
威厳のあった父が
原爆への執着と畏怖により最後、異常をきたしてしまう。
火事現場をうろつく彼の姿はまさにゴジラ。
またゴジラ同様、
水爆実験などで問題になっていた頃、
ゴジラ(1954)が封切られた翌年に公開されています。
前年が「七人の侍」。
またゴジラつながりでは、この父の一家の姓が 「中島」 であること。
ゴジラのスーツアクターも有名な中島春雄さんで、
七人の侍にも登場しており、
初出演は同監督作の「野良犬」だったが出演シーンは全カットされており幻の初出演作だったらしい。
黒澤組ともゆかりのある方なのである。
また、
オープニングのタイトルカットは
俯瞰で見下ろしたカットになっており、
人々がわらわら歩くシーンが使用されており、
あたかも神か、ゴジラの目線となっている。
原爆を題材にするということもあり、全くの偶然とも言い切れない気がします。
まー
偶然も大いにありますが、、(^^;
そういうふうに観るのも面白いよね。
私は先にも言いましたが
黒澤明版の「ゴジラ」としてこの作品は位置付けているので、
意図して言わせていただけますと
こういうゴジラがあってもいいじゃないかと思うのです。
もし、
ゴジラを題材にしたオムニバス映画があり、
この作品を尺を短くしてオムニバスの1篇として公開していたら、
大傑作の大絶賛されていたのかと思います。
オチも素晴らしい。
実は
「ゴジラ対ビオランテ」の脚本は一般公募からできたんですが、
その時、これに近いお話のゴジラがあってもいいなあって、
思ったことがあります。
それは
人間の狂気が生み出すゴジラというお話。
ま、そんなものより
こっちの作品のほうが百万倍も素晴らしい設定とお話です(^^;
また、黒澤明監督の娘さんがインタビューで以前おっしゃっていたお話で、
「黒澤はとても映画好きで、いろんな映画の技法を自身の作品に取り入れていた」と
言っておりました。
有名なのは「悪い奴ほどよく眠る」のシーンでの「十二人の怒れる男」の技法。
その他、ヒッチコックやジョンフォードの技法など
作品群を観てるとオマージュかなって思うほど似てるシーンがあります。
しかし、それは真似ではなく研究し尽くして自分のものにして映像化しているので、そのシーンに違和感なく溶け込んでいるのが凄い。
この三船敏郎の老人姿も
笠智衆を意識してたんかな(^^;
とか、
これも小津っぽいね。
あくなき探求心が、あらゆるカットを作品に生み出し、尚且つご自身でも他では撮れない絵を撮ってみせる。
本当に映画が好きな監督さんです。
黒澤監督の作品はどの作品も語りつくされていますので、
ゴジラ好きの私からのアプローチとしてこの作品を記事にしてみました。
次回も
古い作品をと思っていますが、
お次は洋画にしましょうかね。
では(^^)