以前より、飲食店経営に関する書籍や多くのコンサルタントは個人店が繁盛する方法として、
「お客様のターゲットを絞りなさい」
「何でも屋でなく専門店になりなさい」
「画一的な味付けの大手チェーンに対し、個性的な味付け差別化しなさい」
と言ってきました。
これが大手チェーンとの競争に個人店が勝つ方法の一つだと。
しかし、これには大きな方法には落とし穴が潜んでいると感じます。
それは「商圏」という落とし穴です。
商圏とは簡単に言うと、お客様がやってくる範囲のことです。
この商圏の“規模”と“質”よっては、これらを実行することで逆に業績不振を招くケースあります。
さて、最近は東京以外の仕事も多く、地方の飲食店の相談に乗るケースを頂いています。
そこで出くわす売上不振店の多くは、コンセプト(メニュー)が「商圏」に合っていないケース。
例えば、とあるラーメン店。
「地元の名水を使用し、最高級小麦粉で仕上げたこだわりの自家製麺」
「強火で20時間炊き込んだ濃厚な豚骨スープ」
「黒豚のみを使用したチャーシューは、注文が入ってから炭火で炙る」
といったこだわりよう。
メニューは、店主自慢のラーメン一本に絞っています。
確かに美味しいラーメンです。都内激戦区でも繁盛する味かもしれません。
しかし、開業直後は行列ができる日もありましたが、今はサッパリです。
そう、このラーメン、味がこってりなので2~3ヵ月に一度位食べれば十分。
ハマる人はハマる味ですが、好き嫌いも分かれますし、高齢の方には少し重たい。
このケース、原因は商圏の“規模”と“質”に対して、
「ターゲットを絞り」過ぎ
「(メニューが少なく)専門店」過ぎ
「味付けが個性的」過ぎていて、利用動機の幅が狭く、利用頻度の低下を招いていました。
この立地、周辺には様々な飲食店があり、決して飲食店が成立しない立地ではありません。
しかし、商圏調査から見えてきたのは、オフィスやレジャー施設が乏しく、外部からの人の流動が少ない。
更には、他の周辺地域に比べ、高齢世帯が多いエリアだったのです。
このような商圏では、見込み客の上限があるので、利用頻度を高める方法を考えなければいけません。
「ターゲットを限定せず」、
「専門店的にならないようにメニューアイテムの幅を広げ」、
「個性を出しすぎない(飽きのこない)味付け」が求められる訳です。
つまり、より日常的で使い勝手の良いお店が支持される傾向にあります。
これは一つの例ですが、お客様が来ない原因は「料理が美味しい、美味しくない」ではなく、まず、
商圏の“規模”と“質”にメニューやコンセプトが合っているのかという視点を持つかが大切です。
川瀬亮太