いとも安直に推すべきヒーローや、叩くべき悪人を仕立てて溜飲を下げようとするのが今日のトレンドであるが、それはファシズムを内に育む危険を孕んでいるという記事は、以前に書いた気がするので、反芻は控える。


 時事的話題は基本的に取り上げないことにしているが、知床の船長は亡くなっているだろうから世間の強いターゲットにはならない。

 山口の若者の件は、わたし個人の意見としては刑事的にも民事的にも責任を負うべきだと思っている。


 その上で、わたしの知っている人(インフルエンサーとまで言えるかどうかは分からない)が、「金を取り返せないなら、社会的制裁を加えて一生をダメにしてやればいい」という趣旨の発言をしていたことに、世の中一般的な方々の本音を垣間見て、恐ろしくなった。


 プーチンはじめ、話しても分かり合えそうにない人だらけなのである、この世は。

 だからといって、その人がそうなってしまった様々な背景や経緯を自分の都合の良いストーリーに当てはめるべく極度に単純化して情報を取捨してしまうのは、人として深みに乏しい。


 山口の青年をあまりに追い詰めると、自死のリスクが生じないか。最悪の結果になっても、それは自業自得だと冷笑してしまうのか。多様性とか個の尊重などと、すべてイメージだけの綺麗事なのか。

 給付金を受けられなかった方々の怒りは想像できる。だけど、少なくとも、第三者が茶の間の暇つぶしの話題などにはするべきではないと思う。


 長年、家庭内紛争と少年非行に携わってきた身としては、社会にうまく適合できない、世の一般的には迷惑者、はみ出し者達がどれほど辛い思いを重ねながら生き続けようとしているかに共感してしまいがちである。


 カバー写真は、最近食べに行ったスパイスカレー。このところ食が細っているので、これだけ食べると一時間ほど気持ちが悪くなってしまう。