中央最低賃金審議会「今年度全国平均 最低賃金16円上げ」答申 | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

昨日7月29日の中央最低賃金審議会にて、2014年度の最低賃金に関する答申がなされました。

全国平均で780円(+16円)の改訂、物価の高い東京、大阪などのA地域で+19円、D地域で+13円の上げ幅になっています。

今後は、地域別に4段階に分けられた引き揚げ額に基づき、地方の審議会で都道府県別の地域最低賃金が決められることになります。

最低賃金制度は、2007年に大きな改正があり、「最低賃金を決める際には生活保護との整合性を配慮する」こととされましたが、今回の改正により、ようやく最低賃金の手取り収入が生活保護を下回るいわゆる「逆転現象」が解消されることになります(2013年までは、5都道府県で逆転現象)

最低賃金改正を論議している時期には、当方使用者団体の労務担当でしたのが、その当時はもう一つの最低賃金制度である産業別算定賃制度の廃止論議が盛んであったこと思い出します。

産業別最低賃金とは、産業別(ある一定の事業または職業)に定められる最低賃金で地域賃金に上乗せする形で決められている最低賃金制度です。

製造業が中心ですが、高知県の一般貨物自動車運送業の910円(2013年度地域最賃664円に対して)という高水準の産別最賃もあります。

屋上屋を重ねる制度だということで、使用者側は廃止を含めた主張を行いましたが、最終的には罰則規定のない上澄み特定最低賃金制度として併存することになりました。
(※この改正でもう一つの最賃制度「労働協約に基づく最低賃金」は廃止になりました)。

昨今の人手不足の業種では、現実問題としては最低賃金での人の確保は困難であり、実質的な影響は小さいかもしれません。

しかしながら全ての人に適用になる罰則規定有の最低賃金制度ですので、上げ幅のイメージを含めその影響は大きいものがあります。

今後10月を目途に地域最低賃金が都道府県毎に決められていくことになりますが、産別最賃を含め人事担当者としては、この水準はコンプラ対応の面でも知らなかったではすまされない初歩的なチェック事項になるかと思います。

10月に確定したところでまたこのブログでもチェックしたいと思います。