2014年4月1日「雇用指針」が公表されています~なかなか役割・性格がわかりにくい指針ですが~ | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

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大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

昨日4月1日、厚生労働省から「雇用指針」が正式に公表されました。
(3月13日の労働政策審議会労働条件分科会の資料として、案はすでに公表されています)

昨日の厚生労働省HPを見ると
 ”本日施行された国家戦略特別区域法に基づき、新規開業直後の企業及びグローバル企業等が、我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めるとともに、労働関係の紛争を生じることなく事業展開することが容易になるよう、「雇用指針」が別添のとおり定められました(以下略)~”
とあります。

この雇用指針ですが、直接的には、2013年10月18日、日本経済再生本部決定の「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」を根拠とするものですが、その役割・性格がなかなかわかりにくい指針です。

3月14日の田村厚生大臣記者会見でも
 ”解雇をしやすくするものではございませんので、これはあくまでも今まで判例等々を類型化したものでございますから、十分に企業側のみならず、労働者側等々もこうしたものに対してちょっと参考にさせていただきたいと思うとともに(以下略)”
と微妙な言い回しをされています。

単純化していえば、
”解雇条件が労働契約に明記されており、なおかつ、その内容・条件がこの雇用指針にマッチしていれば、裁判でも認められる可能性が高い”
ということを示すガイドラインのようなものだと思います。

当然ながら最終的には裁判所の判断になるわけで、その意味で本指針は微妙な位置づけになっています。
しかしながら、こうした指針が正式に出ることは、やはり実務的にはかなり影響力があることは、過去の例からも明らかです。

また、このあたりの論点については、昨年末2013年12月10日に中央経済社から出版されている神戸大学法学部大内伸哉教授の「解雇改革-日本型雇用の未来を考える」が参考になります。

公表された厚生労働省「雇用指針」は、解雇に関する判例がまとめられており、資料としても有益です。お時間ありましたらぜひご確認ください。