昨日ご紹介の「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」について(続編:長時間労働部分) | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

昨日は、3月24日公表となった第15回「イクメンの星」選定結果にちなんで、昨年2013年11月に公表された「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」の結果について言及致しました。

昨年公表時には、新聞各誌でも紹介されていましたが、この調査では、ワーク・ライフ・バランス推進を阻害する要因として、「労働者全般の長時間労働削減や年次有給休暇取得促進」についても質問調査を行っています。

なかなかひねりの効いた質問になっており、示唆深い結果が出ています。

質問は
「残業している人」に対してどのようなイメージを持っていますか。上司の方、同僚の方、あなた自身について、それぞれあてはまるものを全てお答えください。同僚の方、上司の方については「おそらくそう思っているだろう」という、あなたご自身の想定をお答えください。」
というものです。

その結果は、
労働時間の長い人ほど「上司は長時間残業を前向きに評価している」と自分なりに解釈しているという結果が出てきました。

もう少し具体的にみると、上司が残業している人を「頑張っている人」と評価していると思うかという問いに対して、1日の労働時間が10時間未満の人の38%が「思う」と回答したのに対して、12時間以上の人は53%の人が「思う」と回答しています。

逆に、上司が残業している人を「仕事が遅い人」と思っているかとの問いに対しては、10時間未満の人は37%が「思う」と回答したのに対して、12時間以上は、26%という低い%に留まっています。

同時に有給休暇取得に関してもこの調査では同様の質問をしていますが、取得率の低い人ほど「上司は有給休暇取得者に対してネガティブなイメージを持っているだろう」と感じていると結果が出ています。

上司がそういう雰囲気を醸し出していることを部下が感じ取り、長時間労働へ向かっているのか(あるいは年休取得へのブレーキがかかっているのか)、それとも労働時間の長い業務スタンスを取る部下が自己正当化のために、上司評価を都合よく解釈しているのか、この結果だけではわかりません。

しかしながら、長時間労働や有給取得状況は、”それらを上司がどう評価すると感じるか”(まどろっこしい書き方ですが)に影響されるという結果は間違いなさそうです。

この感覚は、長年のサラリーマン生活でも実感するところです。
当方の場合でも、長時間労働をいとわない上司のもとでは、結果として自分の労働時間は間違いなく長くなっていました。

その意識の裏には、「この上司は一緒に夜遅くまで残っているタイプの部下を評価するな~」という確信があったことも事実です。

残業削減の声が出ると「早く帰れ!帰れ!」という割には、時間管理非対象の上司は、勤務スタンスを変えないケースも多々あります。

真剣に長時間労働時間を見直すには、まずは上司の意識・行動の変化からスタートする必要があること、この調査がいみじくも示唆するところだと思います。