3/23号週刊東洋経済「追い立てられる中高年ソニー退職勧奨の現場」記事を読んで | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

週刊東洋経済(3/23号)に『追い立てられる中高年ソニー「退職勧奨」の現場』
という記事が出ていました。

追い出し部屋については、昨年末の朝日新聞の特集記事で大きな話題になり、
就任早々の田村厚生労働大臣が調査に乗り出す姿勢を打ち出していました。

その後、厚生労働省では、実際に該当企業を厚生労働省に呼び出して聞き取
り調査を行い、その結果については、同月内1月29日に公表されています。
(同日の田村厚生労働大臣記者会見でも言及されています)

結論としては、明らかに違法な退職強要が成された事実は確認できなかったと
いうものです。

当方、当初の朝日新聞の報道を見て感じたことは、なぜ今この時期に「追い出し
部屋」がクローズアップされてきたかということでした。

企業の人員整理を伴うリストラについては、かってから行われてきた話であり、特
に目新しいことではありません。

従来は(大企業に限りますが)早期退職優遇制度を適用し、退職加算金を積んで
(あるいは更に+αでアウトプレースメントサービスをつけて)自発的な選択で退
職というスキームで人員整理については対応してきました。

今やそのスキームがいよいよ適用できなくなってきたということかなというのが当
方の理解です。

非正規従業員の就職困難さ、ネットカフェ難民などここ数年頻繁にマスコミでも取
り上げられ、従業員側も『寄らば大樹の陰』が結局賢明な選択であることを実感と
して理解してきています。

また、この世代は、バブル時代に”ここで家を買わないと一生買えない”と高額な
住宅ローンを組んで住宅を取得した世代に重なります。

辞めたくても辞められない世代が今「追い出し部屋」の対象となっている世代です。

また、厚生年金報酬比例部分の65歳支給開始も企業・従業員サイド双方のマイ
ンドに影響を与えていると思います。

企業サイドの要因としては、高齢者雇用安定法の施行による今後の労務費負担
増への危機感から早めの対処圧力が働いていることも否めない事実だと思います。
(今回の報道されている企業は、そんな悠長な状況でないですが)

従業員側は、65歳までどうにか会社生活をつなぎたいという意識が働きます。

こうした双方の状況から企業サイドの対応方策としてクローズアップされてきたの
が「追い出し部屋」対応だと思います。

それにして、現在今この「追い出し部屋」の対象となっている中高年は微妙な世
代です(当方もまさにこの世代です)

入社当時は、美徳として奨励された「滅私奉公」という行動指針が、会社方針転
回により、今やかえってマイナス要因になり、急激な方針転換に自らの行動指針を
変更仕切れない世代がこの世代です。
(もう少し若い世代は、会社と個人間に距離を置いたある意味醒めた目を当初から
持っています)

八方ふさがりのこの状況を解決できないうちは、景気回復の最大のエンジンである
消費マインドも決して良くはならないと思います。
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