日本経団連「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」の内容 | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

前回のブログ記事にて、日本経団連が「労働者の活躍と企業の成長を促す
労働法制」という提言を4月16日に公表したことを紹介させて頂きましたが、
今回はその内容です。

また、4月19日には、日本記者クラブでの講演で、安倍首相は、医療・雇用
子育て分野の成長戦略を公表しました。

安倍首相の今回の発表タイミングは、6月発表予定の最後の三本の矢「成
長戦略」の一部を前出しするすることで、参院選への支持率つなぎにしよう
という意図があるかと思いますが、安倍内閣が重視するスピード感を感じさ
せる対応で、厚生労働省も成長の矢戦略実現に向け、全面的に支援する
方向で動くものと思われます。

こちらについては、あらためて内容確認してみたいと思いますが、まずは経
団連提言について、その内容を見てみたいと思います。

この提言は、第一部で「雇用を巡る状況の変化」について分析し、
 ①国内の雇用機会確保の必要性
 ②多様な労働者が活躍できる労働環境づくりの課題
について論じています。

こうした課題認識の上に立って第二部では、「労働者が働きやすく、透明性
の高い労働法制に向けた具体策」として、
 ①労使自治を重視した労働時間法制改革
 ②勤務地・職種限定契約に対する雇用保障責任ルールの透明化
 ③労使自治を重視した労働条件の変更ルールの透明化
を提言しています。

内容的には、実現可能性・課題の大きさなどについては、バラツキがある
アイテムが混在しているような印象を受けます。

例えば
①のアイテムとしてあげられている「フレックスタイム制の見直し」は、人事
担当者であればご存知の暦日日数、曜日の巡りによって、1日8時間1週
40時間をキープしても、一定時間を時間外として扱う必要が出てくるという
例の取り扱いの見直しです。

これを回避するために、
基発第228号(”基発”とは、労働基準局長発の通達です)で
『週休2日で、かつ29日を起算日とする7日間の実労働時間が40時間を
超えず、各日の労働時間がおおむね8時間以下等という条件を満たす限り、
時間外として扱わない』
(東日本大震災後の電力カレンダー変更検討時に、当方この通達知りました)
などマニアックな対応をしていますが、これを回避すべく

   清算期間における法定労働時間総枠
        =1日の法定労働時間×週休日を除く所定就業日数

とすることが提案されています。

フレックスと労働時間算出の理論的な整合性を取るためには、現行の
呪文のような取り扱いが必要なのだと思いますが、フレックス導入の趣旨、
本取り扱いを変更することによる不利益の大きさ有無などを考えると誰も反
対を唱えないのではないでしょうか?

その他、変形労働時間制での天災発生時の労働日変更なども、変更むべ
なるかなと思います。
(その他、項目の詳細は、ぜひ日本経団連のHPをご覧頂ければと思います)

概してこれを機会に使用者側が困っている労働法制内容を一挙に片づけて
しまおうという感も否めないですが、安倍内閣での成長戦略に合致する内容
については、一気に実現する可能性もあります。

従来の法改正のチマチマ感を払拭し、雇用・労働法制分野においてもスピード
ある対応を行うことは今後の日本経済の方向性に大きな影響を与えることにな
るかと思います。
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