(2012年8月22日公表)。
この調査は、日本における労働争議について、その形態、参加人数、要求事項などを調査
したもので、昭和32年から比較可能なデータがそろっています。
この調査では、労働争議を2種類に大別して集計しています。
ストライキなど争議行為が現実に発生したものを「争議行為を伴う争議」、争議行為は伴わ
ないが解決のため労働委員会等第三者が関与したものを「争議行為を伴わない争議」とし、
この2つを合わせてものを「総争議」としています。
その結果はというと----
「争議行為を伴う争議」は、全体では前年に比べて件数は79件(←前年57件)、行為参加
人員50,190人(←前年33,472人)とも増加しましたが、「総争議数」は、596件(←前年612件)
で3年連続で減少し、比較可能な昭和32年以降、最も少ない争議件数となっています。
過去最も争議件数が多かったのは、昭和49年で、総争議数は10,462件、争議を伴う争議
は9,581件でしたので、それぞれ昭和49年比較では、平成24年は何と▲94%、▲99%
という驚異的な減少率になっています。
当方、会社に入社当時の1980年代でも、まだ交通機関のストライキは当たり前のように行
われていましたが、確かに最近実際の争議行為を行っている場面に遭遇することはほとんど
ありません。
一見、労働に関する揉め事が減り、「よかった!よかった!」というようにも読めますが、一方、
平成13年10月施行された「個別労働紛争解決制度」の施行状況(こちらはへ平成24年結
果が2013年5月31日に公表されています)を見るとそう安心できる状況ではないことが浮
かび上がってきます。
「個別労働紛争解決制度」は、「総合労働相談」、「助言・指導」、「あっせん」の3つの方法に
より個々の労働者と事業主間での労働条件や職場環境などをめぐる紛争の未然予防や早期
解決を促進するための制度ですが、こちらの総合労働相談件数は、5年連続で100万件!
を超えており、高止まり状態です。
また、都道府県労働局長によって行われる助言・指導申出件数は、2012年には初めて1万
件を超えて過去最多となっています。
次に労使関係に関わる周辺データを見てみます。
労働組合組織率ですが、平成15年に20%を割って以降も低下が続き、平成24年は何と
17.9%になっています。
昭和49年は、33.9%でしたので、約半減の組織率低下です(「労働組合基礎調査」)
また、組合組織化が進んでいない非正規従業員の雇用者数は、2012年で2043万人と初
めて2000万人を突破し、雇用者に占める非正規従業員比率も38.2%(2013年7月12日
総務省「就業構造基礎調査」)に達しています。
こうした昨今の雇用環境のもとでは、組合による集団的な労働争議という方法ではなく、個別
的な方法でその解決を図っていかざるをえない状況にあるとも言えそうです。
じつくりこうした数字を見る機会がありませんでしたが、学生時代に学んだ労使関係の知識は
いったん捨てて、新たな枠組みの中で日本の労使関係を捉えなおしていく必要を痛感しま
した。

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