日本経団連「今後の労働者派遣制度のあり方について」(2013年7月24日発表) | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

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大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

日本経団連は、今後の労働政策審議会での審議に対応すべく、労働者派遣制度
の見直しに関する意見書「今後の労働者派遣制度のあり方について」を2013年
7月24日に発表しています。

あくまでも経営側の意見ですが、今後の議論を呼びそうな内容です。
意見書のポイントは、以下の通りです。

1.はじめに
  労働市場の柔軟性確保のため、制度の機能や有用性を踏まえた見直しが必要

2.制度見直しにあたっての視点
  ・労使双方に強いニーズがあることを踏まえるべきである
  ・派遣元のエージェント機能も評価すべき
  ・わかりやすい制度への再構築の必要性
  ・優良事業所を増やし、制度の信頼性向上

3.具体的な制度のあり方
 (1)常用代替防止の観点
   →廃止を含めた議論が必要であり、考え方の基本は残す場合でも、
    派遣労働者の保護を図る観点でから修正を行う必要がある。

 (2)わかりやすい制度の再構築
   →26業種の見直しは不可避であり、①専門業務の限定化、②期間制限に
    ついては、「業務単位」から「人単位」へ見直し
 (3)マッチング機能の向上
   →登録型、製造業務派遣の禁止はもとより規制強化には反対

4.改正法の更なる見直し
 (1)労働契約申込みみなし制度
   →施行前に制度自体廃止すべき
 (2)グループ企業内派遣規制
   →8割規制基準の妥当性について再検討・抜本的な見直しを行うべき
 (3)1年以内に離職した労働者への規制
   →対象を解雇した者に限定するか、少なくとも例外(自己都合退職など)を増
    やすべき
 (4)日雇派遣の原則禁止
   →原則禁止の撤廃、少なくとも収入要件の水準の大幅引き下げ

具体的な制度のあり方の(1)の「常用代替防止の観点」は、厚生労働省も1985
年派遣法制定以来、一貫して制度の基本的な考え方として、維持してきた視点
あり、今回意見書の最大のポイントだと思います。

日本経団連の意見書は(従来からそうですが)、無理そうな部分は、続いて「少
なくとも~」「仮に維持する場合でも~~」などと次策を記載して落としどころ
にしてあります
ので、経営側としては、その落としどころが実現できるかどうかが
狙いとする部分であり、その実現に向けて論陣を張ってくることになると思われます。

民主党政権実現の際には、派遣法が大きな争点になっていましたが、安倍政権の
成長戦略、規制緩和の流れの中で、今回の派遣制度見直しは、政権交代の影響が
一番顕著に出る部分かもしれません。

今後その動向については、注視したいと思います。
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