のない給付型奨学金の対象として大学生を含める方針であることが明ら
かになったとの記事が出ていました。
高校生・大学生に対する給付型奨学金の創設は、政権与党である自民
党、公明党とも公約として掲げている内容でありますので、方向性として
は当初方針に沿った対応になります。
財源については、民主党政権が導入した「高校無償化」に所得制限を設
けることによって浮いた財源を利用することとしています。
高校無償化については、高校進学断念者・中退者の減少など目に見える
効果も出ていますが、自民党がバラマキ政策として批判したように、
4000億も予算を全世帯に適用するという政策の可否については、議論の
分かれるところです。
当方は、本当に困っている世帯への支援に集中化すべきだと考えますが、
高校が実質的には義務教育化している今の時代においては、国としての
思想・価値観として無償化を進めるという考え方もあれば、効果対費用を
考えればバラマキという捉え方も出来ると思います。
また、就職難に伴う貸与型奨学金の返済に苦慮するケースが問題化する
昨今においては、貸与型奨学金制度の創設、さらには大学生への制度適
用は望ましい方向だと思います。
奨学金制度により、進学の局面で取りうる選択肢が増えることは、日本社
会で蔓延しつつある諸格差の是正にも大きな影響があるかと思います。
学歴による年収格差があることは、実感として感じるところですし、厚生労
働省「賃金構造基本統計調査」データを見ても明らかです。
理屈の上では、その期間で高度なスキル・知識を習得するわけですから労
働市場においては、高い賃金が示されることは(差の大きさは別として)特
におかしなことではありません。
ただし、学歴による賃金格差が、昨今貧困問題で指摘されるように、
親から子の代に引き継がれるのは問題であり、ここの連鎖を断ち切る
方策はぜひとっていくべきだと考えます。
この意味で、進学に本当に困っている世帯に対して重点的な支援を行い、
すくなくとも進学に関する機会均等の選択肢は、社会としても準備しておく
必要があると考えます。
以前の記事でも書きましたが、現在の文部科学大臣下村博文氏は、交通
遺児育成会(あしなが育成会)の第一期奨学生であり、ご自身の体験を踏
まえ、真に必要とされる進学支援に対するリーダーシップが期待できるかと
思います。
「平成24年版労働経済の分析」では、正規・非正規など雇用形態に伴う
様々な格差について、かなりのページを割いて分析を行っています。
格差の是正という観点からもこの奨学金制度設計については、その動向を
注視していきたいと思います。

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