「非常勤講師組合 早大を刑事告発」の記事を読んで | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

今朝の毎日新聞に「首都圏大学非常勤講師組合 早大を刑事告発へ」という記事
が出ていました。

「(従来は上限のなかった)非常勤講師の雇用契約期間を5年を上限とする内容に
就業規則を変更」する際に、労働基準法に定める手続き(代表による意見聴取等)
に不正な行為があり、首都圏大学非常勤講師組合が、近く早大を労働基準法違
反で刑事告発するというものです。

記事によると、早大では2012年時点で専任や専任扱いの教授らが約2200人
なのに対し、非常勤は約4300人とのことです。

この就業規則変更は、この4月1日に施行された改正労働契約法に対応したもの
だと思いますが、その影響の大きさにしては(大きさゆえに?)、記事を見る限りで
は大学側が手続きを”早急”かつ”強引”に進めたことにその問題がありそうです。

短期の有期契約を更新して5年を超えるような場合には、5年間も継続してその業
務が存在し、その当該者と契約ニーズがあるわけですから、期間の定めのない雇
用に転換できるとする今回の労働契約法の改正は、「むべなるかな」と個人的には
思っています。

今回の法改正では雇用期間に関して、雇用の定めのない労働契約に(労働者の
希望があれば)出来るということで、労働条件は従前の契約の維持を想定していま
す。

しかしながら、企業サイドは、人事制度の見直しが進んでいるといっても、高度成
長時代から引き続く企業への長期就労を前提とする
「厚い福利厚生制度が適用される勤務地・職種を定めない総合職的な正規
従業員モデル」

しか持っておらず、そのモデルが今回の労働契約法改正に伴う転換社員の受け皿
にならざるをえないことが、逆に企業側の大きな不安になっているような気がします。

労働者側も必ずしも、「(会社の業務命令で)どこでもどんな職種でもOK」という働き
方を必ずしも全員がのぞんでいるわけではなく、「契約更新毎にその更新がどうなる
のか?」という不安感を解消することこそが今回の労働契約法改正の最大の効果だ
と思います。

労働契約法改正に対して、企業サイドはどうしてもネガティブな印象を持ちがちです
が、高度成長時代の正規従業員モデルとは異なる「雇用期間の定めのない新たな
従業員モデル」を制度設計し、総合的な従業員モチベーションアップを図っていく必
要があると思います。

新たな従業員モデルは、会社によっては既に存在する地域限定社員・職種限定社
員制度のようなイメージに近いものになるのかもしれませんが、担当する職務の責
任・権限に応じた「雇用の定めのない”新たな正規従業員”」(正規というのは雇用
契約期間の定めがないという意味でこことでは使用しています)処遇制度の構築が
必要になると思います。

「新たな”正社員”制度」

繰り返しになりますが、今回の労働契約法の改正を前向きにとらえ、多様化する就
労ニーズを受けとめることが出来る人事制度の構築を進めていくことが重要だと思
います。

今朝の新聞記事を読んでの雑感でした。
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