ストレスや自律神経問題の鍼灸施術例
※今回の掲載は本人に了解を得ている事例であることと、個人を特定できないように施しをしております。
ここでの説明目的
自律神経失調症等の自律神経関係の様々な症状に対して、どのような鍼治療を行うのかを事例を通して説明いたします。
また、鍼治療は自律神経関連の問題には、現在医学的な視点からも効果的な方法の一つです。
30代・男性
1年前に部署が変わり、当初わからないことを上司に相談しながら仕事を進めてはいたが、ある時同じような質問をした時に、この前もその質問をしていたよね。と言われてからは、相談するタイミングや相談していいことなのかなど、プレッシャーを強く感じながら仕事を行っていた。
約3か月前より、緊張からか首から背中の張りが強くなりはじめ、また、布団に入ってもすぐに眠ることが出来ず、眠るのに1時間以上かかる日がある。眠りが浅く朝もすっきりと目覚めることがなくなってきている。
妻からは、最近いびきがすごいと言われている。
睡眠不足の状態が続き、仕事中に集中できなくなってきたために1か月前に自宅近くの内科を受診。
睡眠剤を処方される。
以前に比べて眠れるようにはなってきているが、まだ眠りが浅くスッキリとは起きれない状況と疲労感や背中の張りは相変わらず続いている。
もう少しよくなるために何かできないかとネットを検索していたところ、ストレス疾患専門という当ルームのホームページを見つけて来室される。
職業:会社員
性格:真面目、神経質、内向的、こだわりが強い
既往歴(過去に大きな病気をした経験):重篤な病気や入院・手術はしたこともない。
たばこ:吸わない
お酒:日にビール350ml程度
趣味:スポーツ観戦
家族:妻・30代
結婚:1年・夫婦仲は良好
当ルームでの検査結果(検査は無料で行っている)
自律神経機能を評価する検査機器(当ルームでの写真)での検査結果
きりつ名人(血圧・心拍変動解析ソフトmeijin ):安静時交感神経過緊張/交感神経反応過剰型(起立時の反応)
※測定時間は5分間
椅子に座った状態で2分(安静)⇒立ち上がって2分(起立から立位)⇒座って1分
安静時のバランスと体位を変えたときの機能を評価する。
検査結果をプリントアウトしたもの(本人にお渡ししている)
CMI健康調査票:CMI健康調査票:領域Ⅲ(どちらかといえば神経症の可能性が強い)
個別で高得点項目:身体的自覚症では疲労度と習慣/精神的自覚症では不適応と不安、緊張
※CMI健康調査票は身体的自覚症(12系統別)と精神的自覚症(6状態別)を把握と、そこから神経症(ストレスによって精神が疲弊した状態)かどうかの確認をする質問紙の検査
施術の方針と施術の内容
自律神経のバランスの回復による疲労の緩和
-抗重力筋の緩和と脳血流の回復-
抗重力筋(姿勢筋ともいわれる)とは
地球の重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉。
立っているだけ・座っているだけでも常にどこかが緊張しています。最も疲労しやすく収縮したままになりやすい筋肉といえます。
なので、ストレスなどで緊張状態(交感神経の過緊張)が続くと姿勢が悪くなりまた、その姿勢を記憶して身体の歪みを作り筋の緊張状態を作ってしまう。
1、背部の過緊張を起こしている抗重力筋を緩和
僧帽筋/肩甲挙筋/棘上筋/棘下筋/など
目的は副交感神経の働きを促す。
※自律神経のバランスを回復するために、ここが重要
研究等でわかっていることで、抗重力筋を緩めることで副交感神経を働かすことで交感神経の緊張を抑えることができる。
施術の内容
背部へ置鍼(20分程度)
僧帽筋/肩甲挙筋/棘上筋/棘下筋/
※置鍼とは、鍼を刺入した状態で置いておくこと。
2、表情筋の緩和(抗重力筋)
目的は副交感神経の働きを促す。
施術の内容
表情筋へ置鍼(20分程度)
3、後頭下筋群の筋緊張緩和
施術の内容
後頭下筋群に置鍼(20分程度)
4、疲労状態では脳の血流量が低下しているために脳血流の改善。
主に前頭前野
※多くの研究でわかってきております。
千田も精神科医とともに1年6カ月研究をしてきました。
(以下写真はその時のもの、掲載許可済み)
施術の内容
①脳血流改善を目的に、四肢末端への鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)
②頭のてっぺん付近(ツボ名は百会<ひゃくえ>)と眉間(ツボ名は印堂<いんどう>)に鍼治療プラス低周波鍼通電(20分程度)
※おでこの髪の毛の生え際の左右(ツボ名は頭維<ずい>)に刺入して行う場合もあります。
5、ホームワーク(自宅で行ってもらうこと):漸進的筋弛緩法の簡易バージョンとウォーキングなどの運動療法を用いる。
※漸進的筋弛緩法とは、筋肉のある部位に8割程度の力を10秒間入れたのち、力を20秒から40秒間抜いて脱力状態を作る。
初診時
現在の困りごとを伺った後、現在の自律神経の状態を確認するために『きりつ名人』を行う。
次に、症状や状態の説明を生物-心理-社会モデルで説明を行った後に上記の内容の鍼施術を行った。
ホームワークとしては、漸進的筋弛緩法を毎日に行っていただくこととした。
第2セッション以降
前回の施術後の確認。鍼当たりがあったかどうかなどネガティブな要因とポジティブな変化があったかの確認を行う。
以後、2セッション~12セッション(9セッション以降は頻度は隔週とした)の終了まで鍼施術内容に変化はない。
ホームワークについては、第5セッション以降、ウォーキング(早歩き・日に20分を週3日~5日)を追加している。
きりつ名人について5セッションと12セッションで行っている。
5セッション時:安静時健常型/交感神経過剰反応型
12セッション時:安静時健常型/健常型
施術回数:12回
頻度:週1回~終盤は隔週1回
期間:3カ月
今回、自律神経失調症や疲労等の自律神経の問題に対しての鍼治療の方法を書いてみました。
私は現在医学の視点での鍼治療を行っておりますので、ツボの名前を用いて鍼治療を行っておりません。ただ、今回は場所等がわかりにくいかもしれないと考え、頭の部分のところのみ名称を使用させていただきました。
自律神経の症状の出方
自律神経の問題に関係する症状は、人によって症状の出るところは様々です。また、症状は一か所だけとは限らず、3か所とか5か所とか身体の複数の箇所に症状が出る場合もあります。
ただ、それは自律神経のバランスが崩れている結果であることは一致しています。
頭・目・耳・口・喉:頭痛、頭重感、耳鳴り、口の渇き、味覚の異常、疲れ目、なみだ目、喉の異物感、喉が詰まる
循環器系:動悸、胸部圧迫感、めまい、立ちくらみ、のぼせ、血圧異常
呼吸器系:息苦しい、息が詰まる感じ、息切れ、酸欠感
消化器系:食道のつかえ、吐き気、腹部膨満感、下腹部の張り、胃の不快感
泌尿器・生殖器系:頻尿、残尿感、勃起不全、早漏、射精障害、生理不順、外陰部のかゆみ
筋・骨格系:肩こり、筋肉・関節の痛み、手・足:手足のしびれ、手足の痛み、手足の冷え、ふらつき
精神:不安、恐怖、イライラ、落ち込み、怒りっぽい、集中できない、やる気が出ない、些細なことが気になる、悲しくなる、眠れない、倦怠感、食欲がない
ぜひ、何となく不調かなと思われたら『鍼灸院』に早い段階で行かれることをお勧めいたします。
※当ルームにお申込み等は以下のサイトでご確認ください。
なお、スマホ対応サイトに移行中のため、現在のサイトはスマホ対応になっていませんのでご了承ください。
新横浜の鍼灸治療室
info@resta-eap.com
千田 恵吾


