知人に誘われて、とある芝居を観に行った。何も知らずに劇場まで足を運んだのだが、そこで初めて、以前に観てすごくよかった劇団の公演だと知った。僕の期待値はがぜん高まった。客席に座る、パンフレットを読む、照明が落ちる、役者が現れる、オープニングの音楽が流れる。

なんだか知らんが、だんだん気分が高揚してきた。

…ふと思った。純粋に舞台を観に来た人っていうのは、こういう気持ちなんじゃないかと。何がはじまるのかわくわくしながら待っているんじゃないかと。

僕にとって、お笑いライブというのは、「出るもの」であって「観るもの」ではない。たとえ観たとしても、それは、同業者を冷めた目で観察している感じにすぎない。その行為自体は今の立場上、致し方ないことだし、別に間違っているとも思わない。本当におもしろかったらそれでも笑う。

ただ、お客さんの中にはそんなヤツほとんどいないんじゃないか。純粋に何が始まるのか期待しながら観ている人の方が圧倒的に多いんじゃないだろうか。…これから始まる芝居を、僕がそうやって観ているように。

帰りの道中、劇中で印象的だったシーンがいくつか蘇えってきた。思い出せるセリフもある。こっちが正面から純粋に期待して観ていると、何かしら心に残るものはあるものだ。

お笑いライブ(ストーリー全体)の中で、そういう存在(シーン、セリフ)に果たして自分はなれるだろうか…。