https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959804923000357
引用元:Olivier Bylicki et al. Atezolizumab with or without bevacizumab and platinum-pemetrexed in patients with stage IIIB/IV non-squamous non-small cell lung cancer with EGFR mutation, ALK rearrangement or ROS1 fusion progressing after targeted therapies: A multicentre phase II open-label non-randomised study GFPC 06-2018. Eur J Cancer 2023;183:38-48.
【研究内容】
目的:EGFR, ALK, ROS1症例に対するICI単剤の効果は限定的である。そこで、プラチナダブレット+ICI+BEVやプラチナ+ICIの効果を評価することを目的とした。
対象:EGFR, ALK, ROS1陽性例に対してそれぞれのTKIを投与した症例(化学療法歴はなし)
デザイン:フランス国内非盲検多施設共同非ランダム化非比較第II相試験
主要評価項目:12週時点のORR
副次評価項目;PFS, OS, 安全性
追跡期間中央値:APPB 14.8ヶ月 vs APP 13.1ヶ月
【患者背景】
プラチナ製剤+PEM+Atezo+BEV (APPB) 71例
プラチナ製剤+PEM+Atezo 78例
が解析対象とされた。
(上記文献 Table1データを元に自主作成)
・Exon20insはAPPで多かった。
・ALK陽性がAPPBで多かった。
・ROS1はAPPで多かった。
・脳転移はAPPBで多かった。
non-RCTなのでやはり背景はばらつきが見られた。
【組み入れ前のTKI治療内容】
(上記文献 Table2データを元に自主作成)
・大多数はオシメルチニブの投与を受けていた(APPB 69.0% vs APP 73.1%)。
・TKI-ORRは、APPB 80.2% vs APP 65.4%であり、やはり背景の遺伝子変異が影響されている可能性があった。
【有効性】
<主要評価項目>
(上記文献 Table3データを元に自主作成)
ORR:APPB 58.2% vs APP 46.5% (p<0.01)
<副次評価項目>
PFS中央値:
全体:APPB 7.3ヵ月(95%CI、6.9-9.0)vs APP 7.2ヵ月(95%CI、5.7-9.2) (n.s)
EFGR陽性:APPB 7.2ヵ月(95%CI、6.8-9.0)vs APP 6.1ヵ月(95%CI、5.6-9.6) (n.s)
ALK/ROS1陽性 :APPB 7.3ヵ月(95%CI、5.9-NA)vs APP 4.9ヵ月(95%CI、0.4-NA) (n.s)
OS中央値
全体:APPB 17.2ヵ月(13.7-NA)vs APP 16.8ヵ月(13.5-NA) (n.s)
EFGR陽性:APPB 17.2ヵ月(95%CI、12.9-NA)vs APP 16.8ヵ月(95%CI、13.3-NA) (n.s)
ALK/ROS1陽性 :APPB 16.8ヵ月(95%CI、16.8-NA)vs APP 6.2ヵ月(95%CI、0.4-NA) (n.s)
→ 生存期間に差を認めなかった(ALK/ROS1に関してはAPPB 9例、APP 4例でほぼ正確な評価できない)
【安全性】
(上記文献 Table4データを元に自主作成)
Any Grade Grade≧3 TRD 中止
APPB 68 (100) 47 (69.1) 3 (4.4) 29 (42.6)
APP 65 (90.3) 37 (51.4) 3 (4.2) 9 (12.5)
毒性はAPPB、APPでほぼ同等であった。
【個人的な感想】
APPLE試験と比較的類似した傾向が見られた。APPLEではEGFR陽性例ではPFSでのみ差が出たが(APPBの方が優位)、今回の試験ではPFSでさえも差を認めなかった(7ヶ月程度まではAPPBで優位な傾向はあった)。OSはK-M曲線はほぼ重なっており、長期でのTKI後の治療でBEVの追加効果は見られなかった。EGFR陽性例においては、個人的には少なくとも短期的なBEVのbenefitはあるかと思う。治療選択肢が少ない現状、TKI後はICI+BEVを使用できる症例には投与したい。