不眠に関する長年の疑問が解けた | レジン作家 kumaさんのWeblog

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物心ついてからずっと悩みの種だった不眠症の原因が、どうやら遺伝子の突然変異らしいことがわかった。

 

先日、ネットでなにかの調べものをしていた際に、たまたま開いた医療系のサイトの記事で、1日3~5時間程度の睡眠で、体調不良になることなく、普通に生活できる「ショートスリーパー(短眠者)」と呼ばれる人たちのことが書かれていて、読んでいたら「あ、オレこれだわ」と思い当たった。

 

 

ボクの不眠症は生まれつきであることは、母が記した育児日誌を見てもよくわかる。

とにかく寝なかったようだ。

 

ボクの上には姉と兄がいるのだが、2人とも寝つきがよく、夜は8時にころっと寝てしまうのが日常だった。

3人目として生まれたボクも、両親としたら上の2人と同じように育てられると思っただろう。

ところがさにあらず、どういうわけか寝ない。

いつまでたって寝ない。

その苦労、というか、「どういうこと?」という、若い母親の戸惑う気持ちが日誌によく表れていた。

 

ボクは2才頃から断片的に記憶があり、眠らないで遊んでいた記憶もいくつか残っている。

とにかく絵を描くことと、パズルで遊ぶことが好きで、父があぐらをかいた膝にちんとおさまって、ずっとパズルをしていたのを覚えている。

 

姉と兄はとうに寝てしまい、母も父にボクを託して寝てしまった後でも、ずっとパズルをして遊んでいた。

「ウルトラマン」と「狼少年ケン」のパズルがお気に入りで、ピースをはめて完成させては壊してまた最初からやり始める、飽きると別のパズルを出してきて同じように何回も何回もピースをはめて遊んでいた。

 

母は日中は3人の子育てと家事で忙しく、夜は眠くて仕方がなかっただろうし、父はボクが生まれた頃、ちょうど独立して会社を興した時期で、さぞかし疲れていたことと思う。

「ケンちゃん、も~寝ようよぉ」、「ハイできた!さっ寝よう!」バラバラバラぁ~~「ケンちゃん、も~寝ようよぉ」ということを繰り返していたのを覚えている。(父よスマン)

 

いつも最後には「ハイおしまい!また明日ね!」と、強引にパズルなどをしまって、抱きかかえるようにして一緒に布団に入って寝かせようとしていたな。

疲れている父は落ちるようにすぐに寝てしまう。

ところがボクは寝ない。

ズルズルと起きだして、一人で遊んでいた。

と言ってもやることがないから、ガラス戸や網戸から外を眺めていた。

青白い月明かりと街灯に照らされた外の世界は、昼間とは全く別の世界のように思えて、眺めているのが好きだった。

 

バスから降りてきた人が歩いていたり、ネコが通ったり、リーリーという虫の鳴き声が聞こえたり。

ひんやりとした夜の空気の肌触りと、においが好きだったな。

今でもよく覚えている。

 

 

寝ている家族を見て、いつも不思議に思っていた。

今、大人になったボクの言葉に翻訳して書くと

 

「さっきまで動いて、しゃべっていたのに、どうして目を閉じて動かなくなるんだろう?」

「目を閉じて動かなくなるのに、どうして呼吸はできるんだろう?」

「目を開けて動いている世界と、目を閉じて動かなくなったときは、別の世界なのかな? どうやったらみんなと同じ、向こうの世界に行けるんだろう?」

 

そんなことを考えていた。

 

小学生になると、毎晩毎晩眠れないことが苦痛になってきた。

いつも「今日は眠れるだろうか?」と不安だった。

小さい頃とは違い、分別が付くようになってからは、眠れなくて一人で起きていることが怖くて、とてもさみしく感じられるようになった。

 

修学旅行が近づいてくると、夜眠れなくて幽霊とか出てきたらどうしよう…とか想像しちゃって、ものすごく不安だった。

 

でも中学生になるとみんな夜更かしをするようになるし、こっそりと深夜ラジオを聴くようになったり、夜通し絵を描いていたりして、それなりに夜を過ごせるようにはなったけれど、寝ること、眠れないことに対する恐怖心というのはいつもあった。

 

 

そして高校生になり、もう時効だから書いてしまうけれど、飲酒によって眠ることを覚えた。これは効果てきめんだったな。

こそこそするのは嫌いだから、ダイニングキッチンで母とテレビを観たり、古典落語を聴いたりしながらビールやウィスキー、ブランデーを飲んで、酔ったら寝るようになった。

ただ眠るためだけではなく、当時、家庭の中でいろいろとあって心の均衡を保つのが大変だったから、現実から逃れる気持ちの方が強かった、ということもある。

 

(後年、母に 「普通、高校生が毎晩家で酒飲んでたら怒るでしょ。なんで平気で飲ませてたの?」と聞いたら、当時のことを想い出すような顔でしんみりと、「今は理由があってちょっとおかしくなっているけれど、この子は大丈夫、と思ってほおっておいた」と言われた時はぐっとくるものがあった。一生頭が上がりません)

 

 

一人暮らしをするようになってからは、酒と精神安定剤 (当時はまだ街の薬屋さんで買えた) を飲んで、目を閉じて動かなくなるあっちの世界へ行くようになったけど、薬事法が改正されて精神安定剤が処方箋なしには買えなくなってから、飲酒量が格段に増えた。

 

当然、内臓に疲れが溜まるし胃も荒れるしで、胃腸薬が手放せなくなった。

睡眠を得るために、飲酒と内臓の疲労とのイタチごっこみたいな生活がそれからずっと続いて今日に至ったわけだ。

 

 

 

横になるとすぐに眠れる人、いつでもどこでも眠れる人、昼寝しても夜普通に眠れる人には理解できないだろうけれど、ボクのこれまでの人生において、眠ることに無頓着でいられた日はただの一日もなかったな。

 

よく眠れる方法がないか、いいサプリメントはないかと、いつでも情報を求め続けていた。

眠れないこと=よくないこと、体に悪いこと、という既成概念を疑ったことがなかったから、ずっと自分はどこかおかしい不完全な人間なのだ、と思っていた。 

 

 

ショートスリーパーという言葉を知ったのも、眠れなくてネットでいろいろな調べものをしている時だった。

そしてどうやら自分がこのショートスリーパーなる突然変異、ミュータントであることに納得し、そしてさらに、1日を有意義に過ごしたいがために、ショートスリーパーになるための努力をしている人がたくさんいると知ったら、急に肩が軽くなった。

まるで鎧(よろい)を脱いだように、すこーーーーんっ!と、心も身体も軽くなった。

 

そうか! 寝なくてもいいんだ!

生まれながらのショートスリーパーのオレって、エリートじゃん!!

じゃぁー、ムダなお金使ってわざわざ深酒する必要もないってことじゃん!

胃腸薬ももう買わなくていいってことじゃん!

夜中の時間も有意義に使えるって、素晴らしいことじゃん!!

 

 

ということで、これまでの半世紀の人生はなんだったのか?という想いはあるものの、毎晩深夜2時か3時頃まで、仕事をしたり、本を読んだり、ネットで調べものをしたり、絵を描いたりして、のんびりと過ごしております。

睡眠時間は3~4時間ですが、全然疲れません。

なぜなら生まれながらのエリート・ショートスリーパーだからね。

 

 

青白い月明かりに照らされた街へ出て、散歩してみようかな。

 

 

 

 

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