ご存知のようにオピオイドは開始時に、30%~50%程度の患者さんに吐き気の副作用が

出ます。この副作用はオピオイド開始時に多く、1週間~2週間で(イレウス等他の問題が

生じていなければ)吐き気止めの併用が不要になる程度まで改善すると言われています。

しかし、そうは言ってもその1週間~2週間がつらい事も多いです。


緩和ケアの世界では、オピオイド開始時に吐き気止めを併用するのは常識です。

一度でも強い吐き気を経験してしまうと、オピオイドに対する嫌悪感が生まれ、

適切な使い方をすれば有効である場合にも使用出来ない事があります。

最初に使用する先生の責任です。


オピオイドの吐き気はいくつかの原因によりますが、化学受容器引き金帯(CTZ)を直接刺激

する作用が最も一般的で、内服し、血中濃度が上昇する頃に出現します。

これに対してはプリンペランやナウゼリンよりもノバミンがよく使われています

(保険適応外)


更に、セレネース(保険適応外)はノバミンよりも確実に吐き気を止める、信頼出来る

吐き気止めです。更に強力な吐き気止めとしてはPZC等があります。


ここまでは、淀キリの『緩和ケアマニュアル』にも載っていると思いますが、

日本緩和医療学会に、ハロペリドールで不十分な嘔気のコントロールが

十分ではない時に、塩酸ヒドロキシジン(アタラックス)を併用すると

著しく嘔気が防止出来た、という発表がありました。


http://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/1/1/1_101/_article/-char/ja/


何だよ、そんなのもうやっているよ、という方もいらっしゃるかもしれませんが

アタラックスは副作用の大変少ない薬ですから、オピオイド開始時に

併用すれば、吐き気で苦しむ患者さんが少なくなるのではないかと

思います。意識して使ってみては如何でしょうか?