2006年4月20日ゾメタが、固形癌の骨転移に対する治療薬としての保険適応が通りました。
(これまでは悪性腫瘍による高Ca血症のみ)
SRE(骨関連事象)という言葉がありますが、これは圧迫骨折等の病的骨折や放射線治療や
外科的手術が必要になることを指します。ゾメタの使用で、このSREの発現が有意に低下した
という事です。簡単に言うと骨転移の合併症を減らせた、って事ですね。
詳しい数字は以下を参考にして下さい。
http://www.novartis.co.jp/product/zom/pi/pi_zom.pdf
似たような薬にアレディアというのがありましたが、アレディアは乳がんの骨転移にしか
適応がありませんでした。アレディアとの比較ではゾメタ4mg/月はアレディア90mg/月に
劣っていないというものでしたが、作用の効果を考えると十分強力である可能性がある
と思います。点滴の時間も、アレディアは2時間以上かけることになっていますが
ゾメタは15分以上と大幅に短い時間で点滴可能です。
いくつかの点についてQ&A形式で述べさせて頂きます。
Q1 )では、ゾメタはどの時点で開始するのが良いでしょうか?
A1)骨シンチで転移がわかった時点では、ゾメタの使用は一般的ではないようです。
ASCOからガイドラインでは
骨転移を示す画像所見を有する患者のうち、
①単純X線所見で溶骨性骨病変を有する患者
②骨スキャンが異常、単純X線所見は正常、CTやMRIで骨破壊を認める患者
に関しましてはビスホスホネートの投与が推奨されています。
つまり、X線、CTで骨病変が認められたら、という事になります。
Hillner BE, et al.: J Clin Oncol. 2003 Nov 1;21(21):4042-57.
Q2)既に疼痛が起こっている患者さんの疼痛に対してゾメタは有効ですか?
A2)上記のように予防で用いられるゾメタですが、ASCOのガイドラインでは
ゾメタやアレディアは全身化学療法やホルモン療法と併用で疼痛の軽減に有効
と上記ガイドラインでも言及されていますし、鎮痛補助剤という位置付けで使用
されているようです。また、使用した患者さんの中にも明らかな効果を感じておられる方が
少なくありませんし、臨床報告はいくつかあるようです。
Q3)副作用は?
A3)以前ここのブログで、薬剤師のがちょんさんからゾメタはアレディアよりも副作用が
多い印象であるとご意見を頂きましたので、ノバルティスファーマに問い合わせてみました。
海外では乳癌の骨転移及び多発性骨髄腫の症例に対しては、アレディア90mgを対照
薬として臨床試験を行なっていますが、その結果などでは、発熱の副作用は
ゾメタ4mg投与群7.2%、アレディア90mg投与群5.4%という結果だったという事です。
同様に骨痛に関しても、ゾメタ4mg投与群9.1%、アレディア90mg投与群8.6%とい
う結果でした。この結果では、アレディアとゾメタの副作用の頻度は大きくは異ならないと
思われます、とのことでした。
またビスホスホネートの発熱の副作用は投与初回に起こしやすく、連用するに従って
頻度は低くなります。また、投与時間を早くした方が発熱を起こしやすくなります。
発熱等の副作用に関しては、投与時間を長く取ることで、頻度が低くなる可能性も
言及されているそうです。
『癌性骨疼痛に対するパミドロネート療法』という本が金原出版から出ています。
参考になるのではないかと思います。