当院の救急外来にもインフルエンザの患者さんが多数受診されるように

なってきました。そこで今年の最初の記事はインフルエンザについて

Q&Aでまとめてみました。


Q1 インフルエンザと風邪の違いは?

何と言っても感染力の強さと症状(発熱、関節痛、筋肉痛等)の強さでしょう。

また20代や30代の人がインフルエンザが重症化し、入院となるケースは滅多に

ありませんが、乳児や高齢者では肺炎等を合併し、致死的な経過を辿る

場合もありますので、本人だけでなく、周りの人も是非予防接種やうがい、

手洗いを心掛けて下さい。


Q2 予防接種って効果あるの?

麻疹や水痘ほどの効果はありません。その年によって、また年齢によっても

違いますが…色々な統計をまとめると、予防接種でインフルエンザにかかることを

避けられる方は半分かそれ以下と考えた方が良さそうです。しかし、重症化を防ぐ

効果もあり、特に高齢者のインフルエンザによる入院や死亡を80%くらい減らす

と言われています。乳児は高齢者と同じくらいリスクがあり、また心臓や腎臓、

呼吸器の病気をお持ちの方は是非接種をお勧めします。


Q3 予防接種は鳥インフルエンザにも効果ありますか?

ありません。


Q4 妊婦でも予防接種出来ますか?

出来るか、というよりも常識です。

妊娠のあらゆる時期を通じて安全に接種出来ます。妊娠中はインフルエンザが

重症化しやすく入院のリスクは5倍と言われています。また、胎児に統合失調症や

気分障害、脳腫瘍等が増加するという報告もあります。抗ウィルス薬の妊娠、授乳中

の安全性は確率されておらず、胎児や生まれたばかりの赤ちゃんを守るために

予防接種は必ず受けて下さい。


Q5 予防接種は1回だけで良いの?

子供は免疫がつきにくいので2回投与が勧められています。13歳以上では1回でも良いですが

2回受けた方が予防効果が大きいのは確かです。2回投与では、1回目と2回目は4週間

空けるのが原則です。それより早いときちんとした効果がない可能性があります。


Q6 予防接種はすぐに効果が出ない?

はい。インフルエンザワクチンはIgGという免疫が関与しており、大体2週間から

効果が出始め、きちんとした効果が出るのに4週間かかると言われています。

一方、効果は5ヶ月ほど持続しますので、10月~12月に接種を終えておくと良い

と思います。


Q7 ドクターは症状だけでインフルエンザと診断出来るのですか?

出来ません、と感染症の権威の先生が言っておられます。インフルエンザの

最も流行っているシーズンでも、症状だけの診断では約50%が誤診と言われて

います。この時期は他の風邪や肺炎も多いですので、抗ウィルス薬を飲む場合

診断キットを使った診断を受けた上で判断した方が良いと思います。


Q8 診断キットの結果は絶対ですか?

いいえ。キットによっても違いますが、概ね80~90%の正しさ、という理解で良いと

思います。熱が出てから検査を受けるまでの時間が早すぎると偽陰性の可能性が

増えます。出典は忘れましたが、6~8時間くらいたってからが良いようです。

また、手技が下手だときちんとした結果が得られない場合があります。

偽陽性は少ないですが、出血は偽陽性の原因になるそうです。

症状だけでの判断よりはずっと正確にインフルエンザの診断が出来ると思います。


Q9 抗ウィルス薬は飲んだ方が良いですか?

タミフルやリレンザ等の抗ウィルス薬ですが、高熱の出る期間を平均93時間から

70時間に短縮出来ます。しかし、腹痛(6%)、下痢(5%)、嘔気(3%)等を始め

副作用も27%にみられます。合併症のない若い方は、無理に飲まなくても良いと

思います。高齢者や基礎疾患のある方は重症化予防のために内服をお勧め

します。この場合、インフルエンザは一旦熱が下がってまた上がる事もよくあるので

5日間きちんと内服した方が良いです。また、1歳未満は安全性が確率されていない

ので避けた方が良いです。


Q10 解熱剤が危険と聞きましたが…。

まず、解熱剤は必須ではありません。それどころか、治癒を2日から3日遅らせる

可能性も指摘されています。しかし、実際39℃以上の熱で我慢するのはしんどい

ですし、脱水や食欲低下、体力の消耗の原因になりますので、ほどほどの使用は

むしろ有益ではないかと思います。アスピリンはライ症候群を起こす場合があり

ボルタレンやポンタールはインフルエンザ脳症を悪化させる可能性があります。

そもそもライ症候群、インフルエンザ脳症自体まれですが、小児では禁忌と

されており、成人でも止めておいた方が無難です。安全とされているのは

カロナール(一般名アセトアミノフェン=アルピニー、アンヒバ)です。


Q11 抗生剤が処方されましたが。

インフルエンザ、感冒の診断がついているのに抗生剤(ペニシリン、セフェム、

マクロライド)が処方される場合があります。これははっきり言って無意味です。

肺炎の予防などの名目のようですが、予防効果は全く認められていません。

むしろ、副作用が比較的多い薬ですし、耐性菌の問題もあり、飲まない方が良いです。


国立感染症のホームページ;インフルエンザ関連

http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/index.html


宮下クリニックのホームページ

http://www.miyashita.or.jp/

健康講座のインフルエンザのページはお勧めです。