野山獄で吉田松陰先生は「独り楽しむ」と「偕(とも)に楽しむ」という考え方を獄中の人たちに教えた。

読書(本を読み研究すること)は、言わば「独り楽しむ」ことである。
こちらの楽しみも良いものである。

しかし、王様が民の幸せを楽しみ、民が王様の幸せを楽しむ。父が子の幸せを楽しみ、子が父の幸せを楽しむ。

そのような楽しみを志すなば、この楽しみの境地を自得したならば、何と楽しいことではないか!と述べている。

ひとりで学ぶよりも、獄中の人たちと共に学び、獄中の人たちと共に、人の道たる道を研究する。

それによって、投獄の苦しみも忘れてしまうほどであって、この境地に至ることができれば、これこそ「真の楽しみ」を楽しむこととなる!と述べている。

「独り楽しみ」は満足感であり「偕(とも)に楽しむ」は一体感なのである。

今の時代、ユーチューブやネットフリックスで「独り楽しむ」人たちは多い。

しかし今の時代こそ、松陰先生の教える「偕(とも)に楽しむ」在り方こそ、より必要なのではないかと思う。