今回は、非結核性抗酸菌(NTM)症の診断についてです。
感染症なので、原則として病原菌(NTM)を検出する必要があります。
環境(水、土壌)にいる菌のため、診断には2回以上NTMを検出することとされます。
具体的には
痰が出るようなら、喀痰の抗酸菌検査を行います。
抗酸菌の検査には、塗抹検査、培養検査、DNA検査があります。
①まずは塗抹検査で喀痰を処理して抗酸菌染色を行い、抗酸菌の有無を判断します。
ここで陽性に出た場合、NTMの場合と結核の場合があります。
顕微鏡では抗酸菌としか診断できないので、区別するためにDNA検査を行います。
結核菌、MAC菌(NTMで最多の菌)のDNA検査が可能です。
感度をあげるためにDNAを何百万倍も増幅して検査するPCR検査が一般的です。
②培養検査は抗酸菌の培地に検体をまき、培養されてくるかを待ちます。
NTMは発育が遅いので、最終結果が出るまでには8週間かかることもあります。
画像でNTMが疑われるけれども、痰が出ないという方もいます。
その場合、まずは 誘発喀痰(濃い食塩水を吸入してもらい、無理やり痰を出す)を行います。
それでも痰が出ない場合は、胃液検査を行います(鼻からチューブを胃に入れて胃液を採取して抗酸菌検査を行います)。
以上でも菌が検出されず、しかし画像ではNTMが疑われ、診断をつけたい場合、
気管支鏡検査を行い、病変部を洗浄してきて抗酸菌検査を行うこともあります。
抗酸菌が出た=NTMではなく、結核菌のこともありますから、
抗酸菌が出たら、その検体をDNA検査に回す(結核を否定しNTMと確定する)ことが重要です。