論文No532
Asthma and the Hygiene Hypothesis. Does Cleanliness Matter?
Juliane Weber, Sabina Illi, Dennis Nowak, Rudolf Schierl, Otto Holst, Erika von Mutius, and Markus J. Ege
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 5 (2015), pp. 522-529.
Asthma and the Hygiene Hypothesis. Does Cleanliness Matter?
Juliane Weber, Sabina Illi, Dennis Nowak, Rudolf Schierl, Otto Holst, Erika von Mutius, and Markus J. Ege
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 191, No. 5 (2015), pp. 522-529.
doi: 10.1164/rccm.201410-1899OC
ドイツからの報告.
<背景>
初期の衛生仮説では,感染しないことでアレルギーが発症すると説明していた.
今では過度に衛生的であることが問題とされている.
しかし,家庭環境あるいは個人の衛生がアレルギー疾患と関係していると決定的に示した報告はない.
<目的>
家庭環境あるいは個人の衛生が喘息やアレルギーのリスクと関連しているか調べる
<方法>
家庭環境あるいは個人の衛生や学童期のアレルギー状態についての包括的質問票を
都市部のPerinatale Asthma Umwelt Langzeit Allergie Studie (PAULA) の
出生コホート339名から回収した.
床やマットレスから細菌マーカーを評価し,衛生状態,アレルギー疾患との関連に
ついて調べた.
<結果>
個人がきれい好きなほど,床やマットレスの細菌は少なかった.
一方,家のきれいさはほこりの量を減らしたが,細菌マーカーは減少させなかった.
ムラミン酸(細菌壁の成分)への暴露は,学童期の喘息を減らしていた
(補正オッズ比, 0.59 [95% confidence interval, 0.39; 0.90]).
生後1年までのマットレスのエンドトキシンは
アトピー過敏 (0.73 [0.56–0.96]) ,学童期の喘息(0.72 [0.55–0.95]).を減らしていた.
ほこりのパラメータはきれいさやアレルギー状態と関連していたが,
アレルギーの発症は家や個人のきれいさと関連しなかった.
<結論>
家のほこりの中の細菌への暴露が小児期のぜんそくやアレルギーを決定する.
手洗いなどの個人のきれいさと家のきれいさはほこりの少なさとつながっていた.
しかし,個人や家のきれいさとも喘息やアレルギーと関連しなかった.
個人の衛生に左右されないほこりのなんらか他の成分が
喘息,アレルギーリスクに関連するのかもしれない.
<感想>
個人や環境がきれいだとほこりの量は減る,しかしアレルギー疾患とは関係しない
ようです.
一方,ムラミン酸やエンドトキシンといったマーカーが高いとアトピーや喘息のリスクが少ないようでした.
結局,環境をきれいにしてもアレルギーの発症には関係ない,ということでしょうかね.
きれいにしすぎると却ってアレルギー疾患発症のリスクが増えるように読めました.
重要なテーマなので(私の訳がちがっているとまずいので),ぜひ原文に
あたってください.
ドイツからの報告.
<背景>
初期の衛生仮説では,感染しないことでアレルギーが発症すると説明していた.
今では過度に衛生的であることが問題とされている.
しかし,家庭環境あるいは個人の衛生がアレルギー疾患と関係していると決定的に示した報告はない.
<目的>
家庭環境あるいは個人の衛生が喘息やアレルギーのリスクと関連しているか調べる
<方法>
家庭環境あるいは個人の衛生や学童期のアレルギー状態についての包括的質問票を
都市部のPerinatale Asthma Umwelt Langzeit Allergie Studie (PAULA) の
出生コホート339名から回収した.
床やマットレスから細菌マーカーを評価し,衛生状態,アレルギー疾患との関連に
ついて調べた.
<結果>
個人がきれい好きなほど,床やマットレスの細菌は少なかった.
一方,家のきれいさはほこりの量を減らしたが,細菌マーカーは減少させなかった.
ムラミン酸(細菌壁の成分)への暴露は,学童期の喘息を減らしていた
(補正オッズ比, 0.59 [95% confidence interval, 0.39; 0.90]).
生後1年までのマットレスのエンドトキシンは
アトピー過敏 (0.73 [0.56–0.96]) ,学童期の喘息(0.72 [0.55–0.95]).を減らしていた.
ほこりのパラメータはきれいさやアレルギー状態と関連していたが,
アレルギーの発症は家や個人のきれいさと関連しなかった.
<結論>
家のほこりの中の細菌への暴露が小児期のぜんそくやアレルギーを決定する.
手洗いなどの個人のきれいさと家のきれいさはほこりの少なさとつながっていた.
しかし,個人や家のきれいさとも喘息やアレルギーと関連しなかった.
個人の衛生に左右されないほこりのなんらか他の成分が
喘息,アレルギーリスクに関連するのかもしれない.
<感想>
個人や環境がきれいだとほこりの量は減る,しかしアレルギー疾患とは関係しない
ようです.
一方,ムラミン酸やエンドトキシンといったマーカーが高いとアトピーや喘息のリスクが少ないようでした.
結局,環境をきれいにしてもアレルギーの発症には関係ない,ということでしょうかね.
きれいにしすぎると却ってアレルギー疾患発症のリスクが増えるように読めました.
重要なテーマなので(私の訳がちがっているとまずいので),ぜひ原文に
あたってください.
Rationale: The early hygiene hypothesis explained the development of allergies by a lack of infections; nowadays, the aspect of excessive cleanliness in affluent populations seems to have replaced this concept. Yet, no investigation has shown that home or personal cleanliness relate to allergic diseases.
Objectives: To relate personal and home cleanliness to risk of asthma and allergies.
Methods: Comprehensive questionnaire information on home or personal cleanliness and allergic health conditions at school age was collected in 399 participants of the urban Perinatale Asthma Umwelt Langzeit Allergie Studie (PAULA) birth cohort. Bacterial markers were assessed in floor and mattress dust and were related to cleanliness and allergic diseases.
Measurements and Main Results: Personal cleanliness was inversely related to bacterial compounds on floors and mattresses, whereas home cleanliness effectively reduced dust amount but not microbial markers. Exposure to muramic acid related to a lower prevalence of school-age asthma (adjusted odds ratio, 0.59 [95% confidence interval, 0.39; 0.90]). Mattress endotoxin in the first year of life was inversely associated with atopic sensitization (0.73 [0.56–0.96]) and asthma at school age (0.72 [0.55–0.95]). Despite the associations of dust parameters both with cleanliness and allergic health conditions, the development of allergies was not related to home and personal cleanliness.
Conclusions: Bacterial exposure in house dust determined childhood asthma and allergies. Personal cleanliness, such as washing hands, and home cleanliness were objectively reflected by dust parameters in homes. However, neither personal nor home cleanliness was associated with a risk for asthma and allergies. Other microbial components in house dust not affected by personal hygiene are likely to play a role.
Read More: http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201410-1899OC