こんにちは,ドクターNです.
長々と書いてきた認知症シリーズですが,
一応,50回の区切りをもって終了します.
私は呼吸器内科医として,長年さまざまな認知症患者さん(の肺炎)に向き合ってきました.
その中で,家族の方の介護のしんどさを間近に見てきました.
医療の側でも
入院中には,ナースやリハビリの理学療法士などの努力があり,
入院から在宅に移行するときには,ソーシャルワーカー,ケアマネジャーなどの多大な助けがいります.
在宅にもどってからは,ひきつづき家族の終わりの見えない介護がつづき,開業医,訪問看護師などの努力,
老健施設への入所となれば,1年以上の順番待ちというのもざらです.
これらの枠組みを作る行政の関与も重要です.
現在の日本の超高齢社会においても,認知症の問題は特に重要な課題だと思います.
それは,認知症になってしまうと,周りへの負担がほかの疾患の何倍もかかるからです.
家族の疲弊,医療者の治療意欲の低下,医療費の増大など,認知症をとりまく問題は
待ったなしの状態だと思います.
神経内科や精神科専門医でなく,一介の呼吸器内科である私ですが,
健診センターの仕事もしています.
生活習慣病の多くは,脳の老化を早め,アルツハイマー型認知症のリスクを高めます.
認知症対策の第一は予防です.
生活習慣病をもっている方,ぜひ今のうちから生活習慣を見直し,
将来的に認知症にならないようにしてください.
認知症と診断された方,またその家族の方,認知症は完全に治すことはできませんが,
現状維持,あるいは進行を遅らすことはできます.
そのために薬物療法,リハビリテーションについても紹介してきました.
ぜひ,最期まで人間らしい生活を送られることを願っています.
最近,人間らしく最期まで生きることの重要性を痛感しています.
自分の足で歩き,自分でご飯を食べることができ,
そして最期まで家族と楽しく会話できる.
そんな,当たり前のようですが大切な生活を日々一日を大事に生きること.
このブログを目にした人が一人でも多く,自分の生活を見直し,
認知症が一人でも減ることがあれば,私の目的は達成されることになります.
そして,呼吸器内科医としては,認知症の誤嚥性肺炎が少しでも減ることを期待しております.
もしよければ,このブログ(認知症シリーズ)を周りのみなさんに勧めてください.
最後までお付き合いいただき,ありがとうございました.
次回からは,通常の呼吸器ブログにもどります.