日本センチュリー交響楽団 いずみ定期演奏会 No.27 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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和歌山から大阪に戻り、天王寺の旅館に荷物を置いて、いずみホールへ。


日本センチュリー交響楽団 いずみ定期演奏会 No.27


いずみホール

19時~


指揮:飯森 範親
日本センチュリー交響楽団
チェロ:アントニオ・メネセス

この回から始まる 飯森さんと日本センチュリー交響楽団のハイドンの交響曲全曲演奏会。
その第1回目にあたる この演奏会のコピー文句は
『夜が明け「朝」が来る』

座席は16列の中央。ちょっぴり後ろかな?って思うも、席に着けばオケを聴くにはベストに近い位置。

今日のオケの編成は
8-8-6-4-3にチェンバロが中央に置かれた、バスを下手にした両翼配置(協奏曲では6型になりました)。私的にはこの規模のホールでハイドンの交響曲を聴くには最良の編成かつ配置。

ハイドン交響曲全曲演奏会の最初に持ってきた曲は
🎵ハイドン:交響曲 第35番 変ロ長調 Hob.Ⅰ:35
pから開始しそれをfのホルンが受けるという美しい旋律の第1主題で魅了するこの曲を最初に持ってくるセンスはなかなか。
飯森さんは1つ1つのフレーズまでしっかりと表情づけができた、しっかりと磨かれた音楽を聴かせてくれました。
弦楽4部のみ、管楽器がお休みのアンダンテの第2楽章。ヴァイオリンが心温まる旋律を奏でるこの楽章では その丁寧な仕上がりが最大限に生かされました。
メヌエットはその大部分で弦楽器に管楽器が被さるので、そこをどのようなバランスで聴かせるかがポイントですが、私的には反復時にバランスを変えて音色の変化を期待したのですが、そこまでは…
ただ、トリオでは弦楽器のソリ(五重奏)が美しく、特に第2ヴァイオリンのビブラートを掛けない音色が絶品でした。
メヌエットの後半も丁寧に反復は 構成上のバランスで私はとても好ましく思うのですが、最後の反復後は思い切った見栄も期待したかったです。
叩きつける3つのfの和音が特徴的な第4楽章。最後も3つの和音で完全終止せずに終わるあたり、ハイドンのお茶目な笑顔が感じられた素敵な演奏は 掴みOK!
唯一、オーボエのバランスが明らかに小さかったのが気になりました。

配置替えの間に飯森さんのお話。プレトークが無くて残念、って思っていたから… もう少し プログラムの聴きどころなどのお話があれば 良かったかな。
 
2曲目は
🎵ハイドン:チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 Hob.Ⅶb:2
メネセスさんは この曲を録音していますが、私はまだ手に入れてなく、どのように料理をするのか心を真っ白にして聴くことができました。
演奏はとても誠実で安定したものでした。そしてチェンバロが加わったこの曲の演奏は珍しく、おしゃれな音色が最高に輝きました。
第2楽章の落ち着いたソロにぴったりとつけたオケがそれは見事でした。
また休まずに入った第3楽章も遅めのテンポを取り チェロとハイドンを満喫できる演奏になりました。特にこの楽章ではインテンポで最後まで歩いた感じになりましたが、私的には 旋律や和声の転換点で 間 を置き、ひとこと一言語り直す、ちょっぴりバロック方面的なアプローチが欲しかったと思いました。
しかし、演奏のレベルに仕上がりは極上でした!

アンコールに
🎵バッハ 無伴奏1番~サラバンド
ホール全体を鳴らした豊かなチェロの音色にどっぷり!ここがいずみホールの最高の席なのでは?って。私的には今日の白眉。ハイドンに比べてバッハにはまだ毒されていませんから…

休憩のあとは
🎵ハイドン:交響曲 第17番 ヘ長調 Hob.Ⅰ:17
 明朗な第1主題で始まる第1楽章。弦楽器主体の曲の中にオーボエとホルンのスパイスが素敵に加わる。第2主題は弱いながら展開部は充実しているあたりは ハイドンらしいソナタ形式の教科書を見ている様な感じがしっかり耳にできました。
弦楽器4部で演奏されるアンダンテの第2楽章。ほの暗い、そう、暗い雲の下にシトシト降る雨の風景のような音楽と感じていたのですが、飯森さんの演奏は テンポをかなり速めにとり、小雨の登山道を一心不乱に降りている(脇目もふらずに!)って感じ。私的には周りの風景も見ることをしたいので、ちょっぴり違和感を持ちました。
3/8拍子の短い終楽章。3拍子で速いメヌエットのような演奏で爽快に締めました。
歩ちょっぴりホルンの不安定さもありましたが、こちらも細部までしっかり整えられた 目のつんだ好演になりました。

そしてメインが
🎵ハイドン:交響曲 第6番 ニ長調 Hob.Ⅰ:6 「朝」
初期の代表曲。私ももちろん大好き。たいていは朝、昼、晩の3部作をまとめて演奏する機会が多い曲です。今まで多々耳にした演奏会の中で最も印象に残っているものは、京都市交響楽団を井上道義さんが振った 楽団の一人一人が本当に楽しそうに弾いていた演奏!
今日はそれに匹敵する演奏になりました。
特に印象に残ったのが第1ヴァイオリンのソロ。第2楽章のアダージョの序奏の部分でコンミスの松浦さんが大きなビブラートを掛けた時、それまでのビブラートを抑えていた響きに対して、ビブラートが『艶やかな装飾』として耳に届きました。ビブラート嫌いな私にはこれは大きなショックかつ耳をリセットしなくては!と考えさせられることになりました。
アンダンテの主部ではヴァイオリンとチェロのソロが綾を成すように活躍するのですが、ヴァイオリン主体になっていたのが残念。私は対等に絡んで欲しかったです。
第3楽章のトリオではテンポを大きく落として、じっくりとバスやヴィオラのソロの響きを堪能することができました。
各パートのソロが活躍するこの曲、フルートとファゴットのソロの安定した技術や表情は見事でした。

次回も期待できそうです。
今日は8割方の入りでした。8年かけて全曲を演奏する企画。ぜひとも完走させなくては!