山形交響楽団 第263回定期演奏会:山形テルサホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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1(半)日遅れの日記です。

蔵王温泉の『新左衛門の湯』のあとは、山形駅前まで下りてきて。

山形交響楽団 第263回定期演奏会

19時~
山形テルサホール

指揮:阪 哲朗
ピアノ:牛田 智大


山形交響楽団のHPの紹介文は
『愛の旋律~故郷・愛する人へ…若き天才 牛田&オペラ指揮者 阪哲朗

1999年福島に生まれ、12歳でデビューアルバムを発売した若き天才が山響に登場!愛してやまないショパンを演奏する。50歳のブラームスが抱いた愛を美しく儚い歌で描く交響曲第3番。過去の共演でメンバーを魅了した山形縁の阪の指揮に注目!』

開場前にホールに着くと、見たこともないような長蛇の列。それも女性が多い。

ロビーコンサート(今日はプーランクのクラリネット二重奏)の時に、今日、明日の公演がともに完売と紹介されました。
やっぱり 牛田くん効果は絶大な様だ!

今日の座席は、2ヶ月前に取った割りには15列目くらいの中央。私的にはちょっぴり後ろすぎかなぁ~と言うけど、一般的には良い位置。

この演奏会、プログラム発表当時からチェックをしていたもの。それは第1にプログラムにビゼーがあること。第2にオケ配置が両翼の阪さんの指揮ということ。そしてもうひとつが、話題の新星のピアニスト、牛田くんがソロを弾くこと。

今日のオケはもちろん両翼配置。8-7-5-5-3で、コントラバスは雛壇の舞台最後列。

最初の曲は
🎵ビゼー:小組曲(「子供の遊び」管弦楽版)
ビゼーは私が最初に好きになった作曲家。もちろん LPやCDでたくさん聴いています。この作品も私の理想がちょっぴりできている。今日はオイレンブルクのスコアを持参。参照しながら聴きました。
阪さんの演奏は、とてもきっちりと 音の輪郭を明快に描いた端正なもの。フランス的というよりドイツ的?もう少し音の立ち上がりを もやっとさせても良かったのかなぁ~とは私の感想。
速い曲は良かったですが、ゆっくりな曲『子守唄』はちょっぴり慌ただしさすら感じる速めのテンポ。『二重奏』はおままごとの様子が あまりにスマートに決まりすぎている感じが、子供の遊び というよりは 子供の演技 というきっちりとした仕上がりに「ちが~う」…
最後のギャロップではコーダにアッチェレランドを大きく掛けて締めるなど、聴かせる演奏となりました、が、ちょっぴりオケの音が粗かったのが気になりました。

続いて
🎵ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11
17歳の牛田くんの演奏。舞台の態度も堂々たるもの!
ちょっぴり硬めのオケの序奏のあと、ソロのピアノが入ってくると、そこからは牛田くんの音楽。阪さんは オケを完全に後ろに控えさせてしまいました。
牛田くんのショパン、端正そのもの。第1楽章は堂々たる音楽がとても好感が持てました。
ただ第2楽章も 同じスタイル。私はもっとppを有効に使って 繊細な音楽を作っても良かったのでは、と 思いました。
第3楽章のピアノは、キラキラ。ただこの楽章で、主題がだんだんと装飾を帯びて再現される時に、今日はどうにも『楽譜通り弾いている』感がでてしまったのが、残念。ここはそうではなく、演奏者が装飾を加えている…という感じが得られれば…
きっちりとしたショパンが聴けました。フランスよりはイギリス風のショパンって感じ?

満員の聴衆の拍手に応えて
アンコールは
♪プーランク:即興曲第15番「エディット ピアフを讃えて」
情感豊かな演奏が素敵でした。

休憩のあとは
🎵ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90
ブラームスでは 苦手に部類の作品。2種類のCDを持ってはいますが、家で聴いた記憶すらない作品。でも 演奏会では相当数聴いてはいる。そんな感じのブラームスの第3交響曲。
第1楽章からメリハリの効いた見通しの良い音楽作り。テンポは速めでキビキビして、曲の組み立てが耳からでもわかるような、楽器ごとの重なりや呼応が見える演奏。両翼配置やコントラバスをチェロから離して舞台後方に置いた効果かな。
第2楽章も同様。対旋律などを受け持つパートが型枠にはめられたようにしっかりとして耳に届きました。
有名な第3楽章もオーソドックスではあるものの、情感豊かに良く歌わせた演技。
そしていつも消化不良な感じで聴いてしまう第4楽章。ところが今日の演奏は そんな胸焼けを落としてくれるような 分かりやすさと、ブラームスからの課題をハッキリと分けて提示された様。
つまり、霧の中の山を歩いているような風景。遠くの景色は見えないものの、真っ白な中に浮かび上がる アオモリトドマツやハイマツの姿がどれだけ芸術的か 気づかせてくれるみたい。霧の時には霧の風景に似合う魅力がここにある!みたいなことを気づかせてくれる音楽作りがとても良かったです。

最後の和音が静かに閉じたあと、満員の聴衆の張りつめた集中力は、ホールから音が消えて、阪さんが指揮棒を指揮台に置くまで静寂が保たれました。山形の聴衆のマナーの良さが光りました。

阪さんの音楽、3曲とも同様に作られたように感じましたが、私の知識と事前の判断(悪くない意味での偏見)により、聴いた感想がまったく異なったのが面白かったです。

終演後は演奏者との懇親会、今日も盛況。


阪さんはブラームスを現代の視点からではなく、ベートーヴェンから時代を辿ってブラームスのこの作品が初演された時のような感じでまとめたということ。
牛田くんは、ショパンは室内楽的にオケと音楽をまとめられて良かった。次はモーツァルトを弾きたいと。

ホールを出ると秋の空気に。
今日は仙台泊にしたので車で移動。高速を使わず 行きと同じ 関山峠越え。
峠近くで空を見ると 星がめちゃ綺麗。車を止めて、天文手帳を見ながら星の観察。15分外にいると冷えてきたのは、国道の気温表示を見て納得。11℃でした。

ということで、日記が翌日になってしまいました。