第187回レクチャーコンサート「美しい水の祭典~オンド・マルトノ六重奏のサウンドスケープ~」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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桜エビから抜け出して、浜松に到着!

浜松市楽器博物館
第187回レクチャーコンサート「美しい水の祭典~オンド・マルトノ六重奏のサウンドスケープ~」 

14時~
アクトシティ浜松 コングレスセンター41会議室


<オンド・マルトノ>
原田 節 (ハラダ タカシ)
市橋 若菜
久保 智美
坪内 浩文
田村 玲彦
大矢 素子
 


今日は滅多に聴けない音が楽しめそうなので、浜松までの小さな旅。その音楽は あまりに私の守備範囲からかけ離れているので、楽器博物館のことばを以下に載せます。

・HPから今回の音楽会について
『20世紀始めにパリで生まれた電子楽器の原点。多くの大曲家を魅了した、甘く、透明な響き。メシアンは大作「トゥランガリーラ交響曲」に採用。「美しい水の祭典」はオンド・マルトノ6台が奏でる幻想世界。全曲演奏の機会は少なく、日本では1984年以来2回目で、初の日本人奏者のみによる演奏である。』

・HPから楽器について
『◆オンド・マルトノとは・・・
1928年にフランス、パリの作曲家でチェロ奏者でもあったモリス・マルトノMaurice Martenot(1898-1980)が発明した電子楽器。ロシアのテルミンと並ぶ電子楽器の雄である。オンドOndesはフランス語で「電波」の意味。画一的ではなく、演奏者により独自の音楽表現を生み出すことができるため、メシアン、ミヨー、ジョリヴェ、オネゲルなど今日まで多くの大作曲家たちが作品を書いている。鍵盤はあるが、鍵盤を使わずにリボンというワイヤーを操作して演奏することが基本。またスピーカーは、バネ、弦、銅鑼の共振を利用した独特の残響を作り出す。パリ音楽院には演奏学科があり名演奏家を輩出している。

◆神秘と癒しの音空間
 第一次世界大戦に通信兵として従軍したフランスの若き音楽家モリス・マルトノ。彼が暁の塹壕の中で、当時の通信機に使われていた三極真空管が発するピュアな発信音に着目したことから、オンド・マルトノの歴史が始まる。その後10年以上の研究期間を経て、1928年パリのオペラ座で、多くの文化人を前で、この楽器は初めて公開演奏された。オンドとはフランス語でさまざまな波を意味するが、ここでは電波ということになる。いかなる楽器を作るかという点で重要なポイントが三つあった。第1は音楽家マルトノが演奏していた弦楽器チェロの演奏法と音楽表現法の強い反映。第2は1928年の演奏会以降、楽器の演奏方法、つまり演奏家が直接楽器に触れる部分へのいたずらな変更が無いこと。第3は自分の楽器から出る音そのものが人々の心身を癒す効果を持つこと。神秘と癒しの音空間こそ、オンド・マルトノの醍醐味なのである。』
 ということ。

電子楽器の六重奏なんて これを逃したら絶対に聴くことはできない!
宴会場の設えの部屋に舞台を設けての演奏会になりました。


前から2列目の中央で聴くことができました。

最初に楽器博物館の嶋館長のお話。
「今回のメシアンの作品を日本人だけで演奏するのは初めてのこと」
「関係の取材が入ってもいいくらいの企画なのだけど、NHKも来てくれない…」
そのあと楽器の説明を簡単に
「本体にスピーカーが3~4台で1セットの楽器になる」
「電子楽器というと プログラムをセットしておけるとか思われるが、この楽器はあくまで音を作る素が電気ということ。スピーカーから音を出す。だからスピーカーの性能で音が変わる。またとてもデリケートな部分もあり、音が狂いやすい」
「鍵盤とその下には指をスライドさせて音を決める発音装置があり、これだとどんな高さの音も出せる」
そして驚きの事実
「この楽器は和音が出せない」
つまり単音しか演奏ができないらしい!
「だからこそ、オンド・マルトノ六重奏の曲が作れる」
等々




ここで原田さんが登壇。最初の曲はオンド・マルトノのソロで
🎵ハラダ タカシ:フリーウェイ
銅鑼のスピーカーを利用した作品。銅鑼を鳴らす音楽のため、残響が金属的。とても幻想的でした。私には音の強弱をかけると、楽器が遠くに行ったり、近づいたりと、遠近感を感じさせる錯覚を伴わせる音楽が 不思議でした。

続いて2台のオンド・マルトノ(市橋さん)で
🎵T.ミュライユ:マッハ2.5
超現代的な作品。私の音楽を聴く姿勢を根本から崩すような、頭を中の音楽についての記憶をまっさらにしてくれるような作品。
だから感想なんてありません!
音としては、ビブラートの揺らぎがとても心地好く届きました。

次は原田さんが「マッハを受けて」と言って
🎵ハラダ タカシ:マッハ・バッハ
バッハの平均律をオマージュして、プレリュードとフーガの2楽章にもうひとつ加えた作品。加えた曲の名前は『黒イワシ』
編成は2つのオンド・マルトノ(原田さんと久保さん)にピアノ(田村さん)。
バッハ風のプレリュード。聴きやすい音楽で、オンド・マルトノの音の特徴がハッキリ聴き分けられる。とても愉しい。
フーガはピアノが休み。ジャズというかブルース風の音楽が 新鮮。オンド・マルトノが歌いました!
黒イワシでピアノが戻ってきて、こちらは映像のBGMそのもの。ピアノは雨そのもの。そこに織り込まれるオンド・マルトノは、ドキュメンタリー映画の森の中の虫たちの音楽。雨が小雨になると葉っぱの裏や土の中から虫が活動を開始する、そのような動きにピッタリ。私好みの音楽で とても楽しめました。

次にオンド・マルトノにひとり(坪内さん)加わり、オンド・マルトノ3台にピアノで
🎵ハラダ タカシ:二つの無邪気の間で
表題の詩をモデルに作曲したとのこと。
旋律がハッキリして とても聴きやすい曲。ここまで来ると、どのスピーカー(銅鑼を鳴らすのか弦を共振させるスピーカーか)から音が出ているのか 聴き分けられて、音の特徴を捉えて聴くことができて楽しさ倍増!

前半最後で大矢さんが加わり
🎵J.シャルパンティエ:オンド・マルトノ四重奏曲より第四曲
ここに来ると、スピーカーの違いや鍵盤によるハッキリした音とスライドによる微妙な揺れが感じられる音との違い、組み合わせ、の妙が楽しめるようになりました。

1時間足らずでの自分の成長に驚き!

10分(以上)の休憩を入れて、今回のメインプログラム
🎵O.メシアン:美しい水の祭典
全8楽章(部)からなる作品。奇数楽章は同じ主題によるので、ロンド形式に似た形式とも言える。
『ロケット花火』と題された奇数楽章は華やかな音楽。それに対して2-4-6楽章の『水』と題された楽章の美しく、繊細な音楽はオンド・マルトノの神秘性を存分に発揮させた、美しい瞬間に満ちた音楽に浸れました。


16時前に終演。暖かく賑やかな浜松駅前。このあと4時間の電車なので、早めの夕食。レパートリーのない私は、浜松の夕食のお決まりになっている、駅ビル内の浜松餃子のお店に。
今日はつけ麺セット。ボリュームもあり夏にピッタリ。


窓際のカウンター席だったので外を見ると、通りに出店があり、歩道前にロープがあって、そこにたくさんの人が座って待っている。
駅前に出ると 今日は『浜松まつり』で 18:30~屋台の引きまわしが行われるという。これを観ていたら新幹線利用になっちゃうので、パス。お昼には海岸で凧上げがあった模様で、よく見れば町中に、法被を着た人がいっぱい歩いている。もらった浜松まつりのパンフレットには 町(組)ごとの法被の模様の一覧まであり、浜松市民全体のお祭りの様相がわかりました。

あとは浜松から東海道本線の各駅停車で4時間。この区間、浜松~熱海のJR東海の区間、年間何回乗っているのか数てみたくなるくらい、見慣れた風景の中 横浜に向かいます。

早く帰宅してシャワーを浴びたい💦