二期会定期公演~オッフェンバック:喜歌劇『天国と地獄』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~フランス革命とかけて~


大快晴の東京

今日は
二期会定期公演~オッフェンバック:喜歌劇『天国と地獄』

日生劇場
15時~


演出:佐藤 信
衣装:山口 さよこ
東京交響楽団
指揮:阪 哲朗


オペラを見るなら 日本一の日生劇場
今日は当日券。関係者席の放出を狙ってでしたが、S券以外でも 良い席がありました。そこで今回は4000円を節約して、2階席前方の舞台が見渡せる位置にしました。日生劇場は 基本、どこの席からも舞台が観やすいのが いい。

キャストは若手とベテランの組み合わせ。
演出は二期会や日生劇場ではお馴染みの 佐藤信さん。
音楽の指揮は、若手で私の大好きな 阪哲朗さん。

天国と地獄は 今年2回目。二期会では81年の萩本欽一演出から、83年には坂上二郎さんの秀演、その後の中尾ミエさんの これも堂に入った世間の公演も含めて、二期会では最低でも この公演は4回目。

二期会は、このような喜劇を 日本語でやるのが 本当に良いです。

今回の演出は今までで一番。奈落や映像装置の積極的な利用がとても効果的でした。

東京交響楽団は舞台上の役者にあわせてヴァイオリンソロを立って弾いたり と、舞台上とも積極的に絡む演出。
それにしても オーケストラの微妙なニュアンスは オペラコンサートとは思えない。指揮の阪さんの左手の動きは 歌手とオケに的確な指示。恐れ入りました。彼でモーツァルトのオペラを『聴いて』みたい。

歌手ですが、錚錚たるメンバーの今までに比べると、いかにもコンパクトにまとめたかたち。
楽しさ爆発のストーリーなのに、なんか 優等生的。
演出と指揮の関係か、それとも歌手の演技力の限界か?

そう、CDを聴いている雰囲気なんです。

逆に考えれば、全員が横並びのバランスの、統一の?、取れた配役ってこと。出るところで しっかり主張はするものの、他では しっかり「コーラス」的に全体に溶け込んで…という具合。なので、良かった、いまいちだった(目立った)歌手を挙げられなかったというのが、素直な印象です。

しかしそれは かなり贅沢な豚とも言えるのではないでしょうか?
舞台としては、十分楽しめましたから!

そんな中で「へぇ~」って思った場面は
最初に ユーリディスが 振袖で出てきたところ。ちなみに第2幕ではチャイナドレス!百合姫になってました(笑)
ジュピターが地獄に行って ユーリディスをハエになって口説く場面で、ハエの格好をして ラジコンのリモコン持って歌唱。ラジコンカーの上にハエの模型(まるで灰色のスーパーマン)をつけてユーリディスのまわりを走り 誘惑する。

他にも 語りはじめたら止まらなくなりそうな工夫が、至るところにみられました。

最後に、有名な(後年 舞台中の曲を編んで再構成された)序曲の最初と最後に出てくる旋律が『ラ・マルセイエーズ』の引用ですが、それが最初に舞台で出てくる場面は、天国の神々が 王に対して反乱を起こす場面ですね。そう、革命のパロディ。そして それをもじって カンカンの場面に再利用。(因みにそれは更に、サン=サーンスによって『動物の謝肉祭』で テンポを落して 亀に化けている!)
パロディ精神も 今回は 明瞭に描かれていました。

このような細かなニュアンスを 聴衆にしっかり伝えるためには、日本語上演が やっぱりいい。
日本語上演のオペラが好きな私です。
~オペラは音楽より、ストーリーと演出を重視してしまう私ならではの考えです~


おまけ写真は開場前にふらついた 日比谷公園です