オーケストラ・アンサンブル金沢 定期演奏会『世界の潮流』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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金沢市内観光のあとは…

オーケストラ・アンサンブル金沢 定期演奏会

15時~
石川県立音楽堂

指揮:広上 淳一
チェロ:ジョルジ・カラゼ


最初のプログラムは生誕200年の
🎵メンデルスゾーン:交響曲第1番 ハ短調
メンデルスゾーン15歳の若々しさと、意欲満々の力強い作品を力いっぱい。
今回 これも目的。
生き生きした素晴らしい演奏。クラリネットが見事でした。

次に、没後200年の
🎵F.J.HAYDN:チェロ協奏曲 ハ長調
カラゼさんは 84年グルジア生まれの若手。
まず 少し速めのテンポ設定の、第1楽章のものすごい迫力に圧倒。
楽器の鳴りっぷりの凄さも尋常じゃないですが、音の息遣いがホール全体を呼吸させるがごとく、空気を熱くする。この雰囲気、熱狂の日のラドゥロヴィッチやベレゾフスキーのあれと同じ。

第2楽章は一転、落ち着いたテンポで滔々と歌う。ここで見事だったのは オーケストラ伴奏。チェロと同じに歌っているのに、チェロが入ると過不足ない伴奏に早変わり。つまり最初から最後まで音の圧力、いや熱さが、まったく変わらずに、ドーンとホールを揺り動かしていました。
そして驚いたことにカデンッアでは、チェロの迫力ある響きに 弦の共鳴だけではなく、ホール後ろのパイプオルガンのパイプまでも、共鳴させていました。

そして速い第3楽章。
だけど決してリズムが崩れるようなテンポではなく、ハイドンのかたちをきっちりつくり出していくところが見事。

古典的リズムをきっちり刻んでいながら、フレーズの扱いがロマン的に、感情豊かに、実に豊かな音で弾かれたのが印象的でした。

アンコールは
🎵J.Seb.BACH:無伴奏チェロ組曲第3番~第6楽章
古典的なインテンポでありながら、実に情感豊かなバッハでした。

後半は
🎵ハイドン:交響曲第60番ハ長調『薄馬鹿』
広上さんは 日本の多くのオーケストラで演奏していますが、この作品じたいは かなり珍しい部類の曲。
6つの楽章からなり、突如 脳天気なフレーズが入ってきたり、緻密とみせつつ 支離滅裂なつぎ接ぎだらけを感じさせる、ユニークな作品。

第2楽章では、そのデフォルメを見事に強調する表現をしたりと、ハイドンのユーモアに真っ向からぶつかっている。
管楽器も古楽器の如く、割れんばかりに吠えまくる。弦楽器も所々、フレーズ最後の2分音符をヴィブラートを外す瞬間があり、ハッとさせられる。

そして表題にもなっている第6楽章。
ヴァイオリンが調弦しなくてはならないのを忘れて、音楽が開始してしまった騒ぎを描写するものり
今回は「その場所」に来た瞬間、コンサートマスターが立ち上がり、指揮者に詰め寄り音楽を止めさせて、調弦。そして そのやり直しを コミカルに演じてました。

そしてオケのアンコール
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲『皇帝』~第2楽章
弦楽合奏での演奏。この曲は合奏もいいですね。
これこそ、世界一有名なハイドンの曲でしょう(国歌ですから)。

今日は両翼配置の小型のオーケストラが生き生きと輝いてました。

最後に指揮者とソリストのサイン会があり、プログラムと今日は交響曲のスコアを持参したので、それにサインをもらいました。
その折り、広上さんに F.J.HAYDNの交響曲第93番の第4楽章の仕掛けを「だれもまだやっていない」 と話したところ、ぜひ勉強したいとおっしゃり、3回ほど私にその作品の番号の確認をしました。これは4~5年先にプログラムにのるかもしれません、その時は、そこが分かった解釈(演出)で乗るかもしれません。
乗ったら責任上、どこまでも聴きに行かないと