ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024~3日目 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

初夏のような関東地方。今日はお昼ごはんのあと 家を出発。
昨日に続いて 
≪ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024≫
へ行きました。


まずは
東京国際フォーラム ホールA:グランディオーソ 
15時15分~

公演番号:313
『ハジけて究めて、モーツァルトの天才ここにあり』
紹介文は
≪大胆な書法により新たな道を切り拓き、ベートーヴェンらに大きな影響を与えた2つの傑作を≫

東京21世紀管弦楽団
指揮:中田 延亮

オケと指揮者は私の知らない 方々でしたが、ソリスト、曲目により選択しました。
座席は2階2列目のやや左手寄りの、ピアノ協奏曲には最適の位置。


オーケストラは10型、上手手前がチェロになる音域順の配置でした。

最初の曲は
♪モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271「ジュナミ」
ピアノ:アンヌ・ケフェレック
この作品、冒頭にピアノが一気に入るんですよね!そこでソリストの向きがわかります。ケフェレックさんは メリハリのある明るいMozartっていう感じでしょうか。
ちょっぴりオケのキレが悪かった感じ。この席で速いパッケージがモヤモヤしていたので─  また ピアノに対してオケ(特に管楽器)が(無表情)楽譜通り?でピアノとの会話が感じられなかったように感じたのは私だけ?ピアノと隙間風があるようにも思えたのが残念でした。
ハ短調の第2楽章は ピアノとオケの方向性がぴったりと一致。心に鍵をかけたかのような寂しさが感じられました。
Prestoの第3楽章は笑顔いっぱいの賑やかな雰囲気が感じられました。心から楽しい音楽を聴くことができました。中間部のMenuettoの部分では、極めて遅いテンポで 情緒豊かに、穏やかな波に漂うような心地好い音楽の対比が見事でした!~絶品~ そして最後のコーダで冒頭の主題に戻るや、目覚めたかのように空気を一転させ、コロコロとみんなで笑い転げる場のような、陽気な気分のまま幕となりました。

2曲目(メイン)に置かれたのが Mozartの作品の中でも 特にお気に入り作品。
♪モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
ヴァイオリン:オリヴィエ・シャルリエ
ヴィオラ:川本 嘉子
この作品は実演に接した回数は10回超え。つまり「載ると行く」曲だからです。なので 私的ハードルがめちゃくちゃ高いので、今日は簡単に─

ソリストのお2人は どちらも何度もアンサンブルやソロを聴いている方。「方向性が異なるのでは?」と思っていたら、第1楽章のソロが入るや、具体的に言えば 二重奏の部分ではしっかり合わせられているのですが、シャルリエさんの「ソロ」になると『豹変』(爆) 川本さんとは丁々発止にはならずに「大人の対応」をしていましたが、それこそ私が めっちゃ楽しめたのです!

この作品、私的にはソリと競うくらいのアグレッシブなオケが必至と思っているのですが、今日のこの2人のソリストに対して、かなり遠慮がちに感じたのが残念でした。~最もアグレッシブに立ち向かった<ベルティーニ/都響>が忘れられません~


次は
東京国際フォーラム ホールA:グランディオーソ
18時30分~

公演番号:314
『若きトランぺッターが描く豊かなる音の可能性≫
紹介文は
≪2009年生まれの天才トランペッターを迎えて。永遠の都ローマを描くレスピーギの音画にも注目を!≫

指揮:井上 道義
新日本フィルハーモニー交響楽団

2階後方通路前の左手の座席。先のMozartと同じ2階席ですが 視界は雲泥の差(AとCの差だけはある!)。

↑舞台に合わせたら 前の写真と変わらない(^_^;)

まずはトランペットのソロの作品を2つ。
トランペット:児玉 隼人
♪クラーク(辻峰拓編):トランペット・ヴォランタリー
後期バロックに属するスタイルのClarkeの作品は、90年代にCDを集めたことがあります。が、プロの実演は初めて!この(今日)の目的は この短い作品。この曲のCDでのお気に入り度は、伴奏のオケできめちゃうという私。
それを自覚しての感想は─
冒頭、短い序奏をつけてソロが始まった途端『柔らかく温かい!』と 鳥肌!
あとはもう その音の虜! 私の理想とするこの曲のスタイルとは大きく異なっていたものの、ソロの音に魅せられました。
それに対して 井上さんの伴奏(と 言うより オケとソロの繋ぎ役)は『完璧な橋渡し』でした。

続いて
♪アーバン:ヴェニスの謝肉祭による変奏曲
様々な楽器用に編曲されているこの作品。ただただ 児玉さんの優しくしなやかな音に魅了されました。今年一番のヒーローは彼に間違いなし!と言えるでしょう。
↓の録音は音が悪いです。ホールでは2階中央まで しっかり そしてはっきりとした音が届きました!
 

 

Haydnはもちろん、この温かな音で 私はM.HaydnとL.Mozartの協奏曲が聴きたくなりました。
因みに 児玉さん『14歳』です!

大きな拍手に応えて アンコールが
♪モリコーネ:ガブリエルのオーボエ
静かな作品で 熱狂した聴衆を一気にクールダウンさせちゃいました。


因みに 児玉さんのソロに対しては、ホール脇のモニターに(ソロが続くところで)下手からのアップの投影がめっちゃ良かったです(2階席中央で正解の時間差でした!)。

最後(メイン?)は
♪レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」
三部作のうち 私は「祭」が一番好き(Respighi全体では「風変わりな店」がダントツ好きですが─)
井上さんの演奏は、私の持っている唯一のCDに較べると、流れるようで 速い。最初はちょっぴり違和感を持ったものの、第2曲『50年祭』になると もう井上さんにどっぷりはまりました。
そうなると この作品の私のポイント『中欧的民族音楽の香り』は 井上さんに合わないなんてことは無い。10月祭以降は、血湧き 肉踊る音に全身マッサージ!
良かった~

このホールって 2階席後方の方が(視界は彼方になるけど)音はまとまって届くのかしら?


今日は もう1公演
東京国際フォーラム ホールA:グランディオーソ 
21時~

公演番号:315
『ミチヨシ&山根VS伊福部の伝説、再び!』
紹介文は
≪引退表明の井上道義、最後のLFJ公演!日本クラシック音楽史が生んだ鬼才へのオマージュ≫

指揮:井上 道義
新日本フィルハーモニー交響楽団 (オーケストラ)

この公演は1階中央通路の後方(31列)のほぼ中央で聴きました。2階席の張りだしの下に掛かる位置でしたが、高さと張りだし具合も 気になるレベルではありませんでした。


今回の最終公園は 伊福部さんのプログラム。CD等は持っていませんがFMなどで耳にして スーっと入っていくので、この機会を選んだ次第。

井上さんが入ってくると マイクで一言。「この曲は『ゴジラ』以前に書いたのですが、ゴジラが途中で出てきます!」

1曲目は
♪伊福部 昭:ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲
ヴァイオリン:山根 一仁
冒頭、長大なヴァイオリンのソロが続きます。それは難儀な調べではなく、なぜか耳に抵抗がなく 懐かしい響きを感じるもの。これが伊福部さんの曲なんですね。その後、オーケストラが徐々に加わってきて 協奏曲の型に整えられてきても 空気は変わらず。
次の第2楽章はテンポを速めて 華やかなリズムが入れ替わりの響宴!初めて聴きましたが、渇ききった身体に水が浸透していくような気持ち良さ。
楽しかった!

次は
♪伊福部 昭:シンフォニア・タプカーラ
伊福部作品としては メジャーなもの? 序奏つきの急~緩~急の3つの楽章を持つ作品。
井上さんは赤い上着に着替えての登場。本当に『目』からも楽しませてくれる方です。
私的には静かに進むAdagioの第2楽章に惹かれました。今の時期の北東北の田園の空気を彷彿とさせるもの。伊福部さんは 北海道の風景を描いているはずですが、私にはアイヌ文化を亡きものにした今の北海道より 昔からの民俗が垣間見える東北の方が『原風景』に近かったのでしょう。私にはきっと 伊福部さんのスコアに込めた風景が感じられたってことかもしれません。そう、それを音にした井上さんと新日本フィルが見事だったってことでしょう。

井上さんは 今日は前のコンサートから、指揮台を置かずに舞台上で指揮されました。そのため 特にこの曲では 縦横無尽に動きまわることができて、聴衆にも わかりやすい指揮になりました。

7割方埋まった1階席は 22時を過ぎているのに 大きな拍手~スタンディング オベーション!で盛り上がりました。


そういえは、新日本フィルは主催公演以外でも、公演の最初に起立したままコンマスを待つこと、最後の捌けの時に 全員がコンマスに合わせて礼をします。本当に見ていて気持ちが良いですね。
今日のコンサートマスターは西江さんでした。

昨日、今日と 行く予定をしていなかった≪ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024≫てしたが、行って正解でした。